「・・・げ」
私、は今とても困ったことに気付いた。
「着替え・・・持ってきてない!!」
後の祭りで後悔なんて
「此処にあるのは、タオルとバスタオル・・・」
と、冷静に判別しても、どうしようも出来ないのはわかってる。
「着物1着に下着・・・しょうがない。神楽ちゃんに頼もう」
神楽は女の子だから頼みやすいってもんよ!・・・ただ。
「どうやって頼もう」
どうしよう〜!!!此処で叫んでも恥ずかしさだけが残るじゃない!
「はっ!お風呂に入る前に来てた着物を着ればいいんだ!」
・・・だけどさぁ、入ったあとなのにその前の服を着るのもねぇ・・・
悩んだ。悩んで悩んだ。
ど〜〜〜〜〜しよう!!!!!!!
「う〜さびぃ!!おー、出たのか?」
そんなとき、台所への扉を開けて入ってきたのは・・・不幸なことに、銀ちゃん。
「っきゃあ!!」
「なんだよ。セクハラじゃねぇぞ?」
銀ちゃんは閉めて、厠に入ろうとした・・・けど、立ち止まり。
「・・・もしかしてオメェ、着替え持って入るの忘れたのか?」
ププッと笑われるとムカつくけど・・・あぁそうよ!!!
「・・・うるさい。ねぇ、神楽ちゃん見なかった?」
「神楽ァ?」
「うん。持ってきてもらうように言ってよ」
「ヤダ」
「即答かィ!!!」
まぁ、銀ちゃんが手伝ってくれるとも思わなかったけどさぁ!!!
だけど銀ちゃんは私の考えとは違う答えを出した。
「アイツもう寝てるしな」
「・・・え。もう寝たの!?」
「あぁ」
うっそ!!!!
じゃあもうどうしようも出来ないってこと!?
「ちなみに・・・今日は新八くん泊まりよねぇ?」
銀ちゃんはこの状況が楽しそうで何よりっぽい。
「あぁそうだな。ちなみに新八は台所にいるぞ?」
「うそ・・・」
耳を澄ませば、確かに。
カチャカチャと食器を洗ってくれてる音が聞こえる。
新八のバカヤロ〜〜〜〜!!!!!!!(当てつけ)
なんて叫んでも、後の祭り。
「『後の祭り』なんて言葉大っっ嫌い!!!」
小説では絶対使わない!!!
だけど銀ちゃんは
「そんなこと言っても後の祭りじゃねぇ?」
「だァァァァ言うな!!!!!」
全く、もうどうしたらいいんだか・・・ん?
「銀ちゃんさぁ・・・なんで早く出て行かないわけ?」
「あー?」
銀ちゃんの目は、明らかに私の顔に向けられたものじゃなかった。
「いやー眺めが良いなーって」
「アホか!!」
確かに私はバスタオル1枚。
恥ずかしいさ!!あぁ!!!だけど・・・確かに恥ずかしいけど・・・
ちょっとした安心感もあったりして。
だって、此処で一人取り残されて悩むより、二人になったほうが安心感も出るってもんよ。
「・・・よーし、頭が良い銀さんがいい案思いついたぞ」
「はぁ??銀ちゃんの案を採用する気なんてこれっぽっちも・・・」
「コレ、着れば?」
銀ちゃんはスッと白い着物を脱いで、私に被せた。
これで彼は黒の洋服一枚になったわけだ。
「・・・貸してくれるの?」
「いらないのォ?」
「・・・いる!!」
前からこれ着てみたかったんだよねー!!
私は上機嫌で着て、思った。
「じゃあ、私がお風呂入る前に着てたやつを着れば良かったんじゃん!!」
「さーん、どうしました?・・・って・・・なにやってんのあんたたちィィィィ!!!!!!」
もう一つ解れば、銀ちゃんのを借りても疑われるのは一緒じゃん!!!!!!!!
あれ以来、私がお風呂に入る時は必ず神楽ちゃんは起きて待ってるのでした。