目線って、すごいよね。
人の言葉が目だけで伝わるんだもん。
私の目の先には
「さん、また見てるんですか?」
ふと気付いて目を逸らす。
「へっ!?また見てた!?」
次に目に入れたのは、山崎 退くん。
ミントンラケットを持って微笑んでる。
「よっぽど好きなんですねー沖田隊長のこと」
山崎くんの言葉を聞いて、私はボンッと顔が赤くなる。
「ちょっ・・・そんなに解りやすい!?」
「もう見る回数が半端じゃないじゃないですか」
ミントンで器用に玉突きをしながら、総悟くんの方を見る。
山崎くんって目ざといんだもん。そんなにも見てないってば。
「さぁ〜山崎くん、ミントンしよっか!!」
「へっ!?」
私が今日帰る予定なのは晩ご飯を食べてから。
それまで真選組の庭で、山崎くんとミントンをしていた・・・けど。
「さーん、落ちましたよ?」
「・・・へっ!?あ、あぁっ!!!!」
もちろんミントンよりも総悟くんに夢中。
恋をしてたらさ、もうずっと目の中に意中の人を入れておきたいのよ。
チラッと見ては、ミントンを打つ。
「・・・あ」
ポスッと、負ける音が聞こえた。
総語くんと目が合った・・・
ふいっと逸らしてしまった辺り、照れちゃうんだろうねぇ・・・。
今日のミントン勝負は、山崎くんの圧勝だった。
真選組の皆さんと夕食を召し上がって、それから私は近藤さんたちと雑談をする・・・
「ちゃん、いつ帰るの?もっと居たらどうよ!」
近藤さんが後ろから抱き付いてそう言ってくる。
そりゃあ居たいけど・・・甘えるわけにもいかない。
「8時ごろですかねー」
チラッと総悟くんを見てみる。
あ・・・また目が合った。
そして、8時が過ぎて・・・帰る頃。
「ちゃァァァァん!!!また来いよ!!また来てねェェ!!」
「ハイハイ。いつもよく会うじゃないですか」
近藤さんにギューッとしてもらったとき、土方さんが言った。
「まァいつでも来いや。なら大歓迎だからな」
「土方さん有難うございます・・・近藤さん、退けてくれません?」
土方さんに首根っこを掴まれた近藤さんは、ポイッと捨てられた。
「じゃあさん・・・頑張ってください」
山崎くんはミントンを掲げながら、そう言いやがった・・・笑顔だけにしよ。
そして、土方さんと山崎くんの間に居る総悟くんを見つめる。
総悟くんと、目が合った。
「さん、一人じゃ危ないですぜ。俺が送って行ってあげましょう」
「・・・はぃ?」
目が合ったと思ったら、総悟くんは微笑んだ。
「ちゃん!!総悟より俺が「さぁ局長に副長!もう寒いし中に入りましょう!」
山崎くんが気を利かせてくれたみたい・・・ありがとう。
「さァ、行きやしょう」
「・・・うん・・・」
なんか、最近総悟くんとお話してないから気まずいなぁ・・・
案の定、総悟くんとは無言ばっか。
空気が重い・・・そのときだった。
「さんって、いつもなんで俺を見てるんですかィ?」
「・・・・・・・・へっ!?」
ドキッとした。
まっ、まさか総悟くんまで気付いてたなんて!!!
「あっ、えっ・・・あの・・・知ってたんだ!?」
すると、総悟くんは私の方を向いて・・・真剣な顔で。
チラッと見た途端、私は総悟くんから目を離すことが出来なかった。
「・・・・ま、良いですけどねィ」
真剣な表情から一変、ニヤッとした表情に変わった。
だってさぁ・・・「好きだから」だなんて言えないよ!!
その日から、総悟くんを見ると必ず彼と目が合うんだ・・・私は嬉しいんだけどね。