「銀八先生」
「んー?なんだァ??」
「先生と生徒は付き合っちゃダメなんだって」
 そう沖田くんが言ってた。
 だから、私の担任であり恋人の銀八先生に言ってみた。





“教師”よりも大切なもの





 数時間前、沖田くんから告白された。
 でも、私は先生が好きだから断った。
 此処までは自然の行いだと思うけど・・・沖田くんは私の恋人を知ってたらしくて、
が担任の先生と付き合ってるのは知ってやした」
「・・・え?」
 別に隠してたつもりは無いんだけど、それでも少し吃驚はしたわけで。
 でも、沖田くんが言った次の言葉に一層驚いた。
「でも、教師と生徒が付き合うのはいけないことだィ」
「・・・・・・へっ?」

 だから、沖田くんと別れた私は急いで銀八先生の元に向かったの。



 銀八先生はというと、私の言葉を聞いた後、うんと頷き、
「よく言うよなーそれ。、知ってたんじゃねェの?」
「知らないよ!!」

 因みに、銀八先生と私が話しているところは屋上。
 此処なら誰も来ない。大声出しても大丈夫。

「ホントに!?じゃあなんで先生は私と付き合ってんの!?」
 だって私は先生の教え子じゃない!まだセーラー服着てるし!!
 先生は、う〜〜ん・・・と考えてたけど「は俺のこと好きじゃないの?」って言った。
 そんな答え、先生も知ってるくせに。
「・・・大好き」
「だろ?俺もだ。だから」
「へっ!?」
 なっ、なんかわけわからんって・・・

「どういうこと?」
 銀八先生はため息をついて、
「あのなァ、俺はお前が好きなの。教師生命が絶たれても、お前を手放す気はないから」
「・・・え」
 何でだろう、すっっっごく・・・恥ずかしい。

「先生、そんなに想ってくれてるの?」
はそこまで想ってくれてないの?」
「・・・ううん」

 でも、すっごく嬉しかった。

「私、教師じゃない先生の方が好き!」
「マジ?じゃあ俺教師やめよっかなー」
 ポリポリ頭を掻いてそんなことを言う先生が、今日はとても愛しい。
「・・・でも、先生じゃなきゃ学校でも逢えない」
「だなァ。が卒業したら俺も止めようかな」
「あははっ!それで結婚とかしちゃう?」
チャンが望むならいいけど?」
「へっ?いいの?!」

 ぶっちゃけ、冗談だったんだけどなぁ。
 でも私は笑顔で言った。

「じゃあ卒業したら結婚しよう!」
「よしっ、決まりだな」

 死んだ魚のような目をしてる先生だけど、少しだけ楽しみみたい。


 沖田くん、ごめんね。
 私、“教師と生徒の交際が禁止”ってわかっても・・・先生を嫌いになることが出来ないよ。
 寧ろもっと好きになるんだから、救いようのないバカだね。


『教師生命が絶たれても、お前を手放す気はないから』

 この言葉が、とっても嬉しかった。





 そして、私も卒業後が楽しみになっちゃった。