最近、眠れない。
 不眠症かなぁ?本当に眠れないんだよね・・・
 それは真選組の屯所に行っても変わらなかった。





夜、眠れなかったら





「土方さん、ちょっと相談していいですか?」
 夜、今日は真選組に泊まる日。
 踊った後の私は、土方さんの部屋に向かった。

「どうした?
 土方さんはと言うと、意外そうに私を見た。
 確かにいつもは踊ってからすぐに土方さんの部屋を覗くことはない。
 だけど、相談だから仕方ないよ。
 本当に困りきってるんだ。

「あのね、今日の夜・・・一緒に寝てくれません?」
「・・・・・・はぁぁっ!?」

 あ、瞳孔が更に開いた。
 この人、面白い・・・じゃなくて。

「ちょっと待て!!!何で俺がお前と一緒に夜を共にしなきゃならんのだ!?!?」
「あのさぁ、混乱してるのはわかるけどちょっとはオブラートに包んでよ、土方さん」
 呆れた顔をしたけど、すぐに直した。
「深い意味はなくてね、実は最近眠れないんですよ」
「あァ?眠れないだと?」
「はい。不眠症みたいで、寝付けないんです」
「・・・で、なんでソレがお前、俺と寝ることになるんだ?」

 確かに・・・これは説明不足だった。

「いや、人肌があれば眠れるかなと思って。でもって一番誠実そうなのが土方さんでしたんで」
「総悟がいるだろォが」
 その言葉に、何故かムッとした。
 私は土方さんがいいのに、なんでそう拒否るかなぁ。

「何も疚しいことじゃないし、いいじゃないですかぁ〜!!!」
「なんで俺なんだよ!!とりあえず落ち着けって!!」

「・・・なんですか」
 土方さんは私を落ち着けるべく、静かに話をした。

「お前さぁ、男と女が一晩同じ布団の中に居るってことは、どういうことかわかってんのか?」
「はぁ・・・。でもそれとは違いますって!!」
「なにがだよ!!」
「だってただ
ギューッてしてくれてれば、眠れるかも知れないじゃないですかぁ!」
「だからなぁ!!」

 急に大声を出して少し吃驚しちゃったじゃない!!



 土方さんは私の両肩に手を付き、目を見た。

「俺がもたねェんだって!!!」
「・・・へ?」
「お前にその気がなくってもだなァ、俺の理性が・・・
その・・・

 ・・・なんだ。

「あはは」
「なっ!!テメェ笑ったな!!」
「だって、土方さん可愛すぎー!!」
「はぁっ!?」

 だって、顔を真っ赤にして弁解するんだもん、可愛いじゃない。

「どうしてもだめなんですか?」
「・・・わりィな」
「・・・じゃあ、総悟くんのところに行ってこよー」

 これは、土方さんの案。
 なのに土方さんが吃驚してるし。

「ちょっと待て!!」
「ぅわっ!!なんですか!!」

 腕を引かれ、もう一度座らされる。

 土方さんはまだ頬を赤くしながらも、瞳孔が開いた目で私の目を捉えた。




「総悟はやめとけ」
「・・・土方さんが言ったんですよ?」
「いや、しかし総悟はダメだ。アイツはタチがわりィ・・・
「・・・どっちなんですかーもう!!!」

 掴まれてる腕を逆に引っ張ってやり、土方さんはグイッと私に近くなった。

「ねぇ!土方さんはどうして欲しいんですか!?」

 しばらく口を噤んでいた土方さんだけど、スッと更に近くなった。


 そして、軽いキス。

 これには私も吃驚してしまった。



「夜、俺の部屋に来い。いいな」

 それだけ言うと、フイと後ろに向いた。


 だけどね、


「・・・・・・はいっ」


 耳が真っ赤だよ、土方さん。



 夜、眠れなかったら土方さんの部屋に来なきゃ。
 絶対眠れないんだろうなぁ・・・今日も。




 翌日、起こしに来た隊士が私と土方さんを目撃して、総悟くんに告げ口したのは言うまでもない・・・