お?あいつまた外に出てんのか?
さみぃって言うのによ〜・・・
オイ、なんで俺も行ってるんだ?
突き抜けるほど晴れた日
「お前よォ、寒くねーのか?」
、と呼んでやると「えー?別に寒くないよ」って笑顔を向けてくる。
鼻を真っ赤にしてよく言うぜ、ったく。
お前は赤鼻トナカイか。
ガラッと開けて見ると、凍りつく寒さが体中を襲った。
「さっみぃぃ〜〜〜〜!!!!」
「そう??銀ちゃんおじさんみたい」
あははっと笑うは、朝っぱらから寒くねーなんてどっかのババァみたいだ。
「ほら、貸してごらん」
両手を俺に差し出してきた。
・・・これは俺もしろというのか?
渋々出してみると、は恥じらいも持たずに小さい両手で俺の手を握った。
「冷たいね、銀ちゃん」
「あのなァ、手が冷たいヤツは心があったけぇんだよ」
とは言っても、は笑うだけで何も言い返さない。
いつもなら言い返すはずなのに。・・・朝ってすげぇ。
「で、なんで毎朝ベランダなんかに出てんだ?」
はきょとんと俺の顔を見て、それから視線を空に移した。
「だってね・・・綺麗じゃない?朝の空って」
釣られて視線を空へ映す。
・・・あれ?なんか変だぞ?
「おォォォッ!?ホントだなァ!!!」
「でしょ!?」
初めて見たわけじゃないんだけど、その空がとても俺の心を掴みやがった。
・・・みてぇ。
そう思ったが、その思想は途切れて。
「私ねぇ、この空が大好きなの」
その先の言葉は俺の脳まで入ってこなかった。
相変わらず風は冷てぇけど、なんかどうでもよくなった。
「なぁ」
「んー?」
「お前、明日も笑ってろよ」
「へ?何言ってんの?今日の銀ちゃん変だよー!!」
あはははっと笑うコイツは、いつもと違って、とても綺麗に見えた。
っあ―――!!なんか上手く表現出来ねェ!!!!
「もう無理!!銀さん入るぞ!!」
「はいはーい!」
まだ見ていたいのか、俺がそう言ってもは空から目を離さなかった。
・・・なんか変だ、俺。
知恵熱でもあんのか?っだぁ〜〜〜〜!!もう考えるな俺っっ!!!!
「・・・上手く表現出来ないんだけどね」
俺が入った後、が呟いた。
「朝の空って綺麗で・・・銀ちゃんに似てるんだよねぇ」
その空が好きってことは、私は銀ちゃんが好きなんだ。
心の中で呟き、
「好きだよ。・・・好きだよー!!」
「なぁ神楽、体温計何処だ?」
俺は、何も知らずに神楽にそう訊いていた。