「えへへ〜♪」
の目が綻んでいる。
そんな姿を目撃している通行人は、見る人全員が笑顔になってしまうほどだ。
さすが胡蝶族・・・いや、一人の力だろう。
の笑顔ひとつで皆が笑顔になる、そんな力を持ってることを彼女は知らない。
「たっだいまー!!!」
両手には新調したばかりの着物をソファに置き、はきょろきょろと辺りを見る。
「・・・あれ?銀ちゃんたちが居ない」
何処かに行ったのかと諦めがつきそうになったその時、の耳には銀時の声が聴こえた。
「・・・やべぇよな・・・」
「やばすぎですって!!」
「仕事のことになると尋常じゃないヨ、は・・・」
「私がどうかしたー!?」
「「「ぅぎゃああああぁぁぁぁっっっ!!!!!!???!?」」」
恐ろしいほど馬鹿でかい声を直接耳にして、は思わず耳を塞いでしまった。
しかしそれ以外に何も言葉が発されず、目まで塞いでしまっていたのだが、それを開けてみた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・な・・・・・・・・・・」
「「「(ごくり)・・・な?」」」
「何じゃこりゃァァァアアッッッッ!!!!」
私の素っ頓狂な、そして悲しみと怒りに満ちた声が木霊する。
キッと仕事モード・・・いや、必殺仕事人モードの瞳をしたは冷や汗いっぱいの3人に向き直った。
「おっどりゃあどいつがやりおったんじゃゴルアァァッっ!!!」
訳:(この野郎誰がやったんだコラ!!)
さっきまで、の目には仕事道具であるパソコンが映っていた。
いや、パソコン“だった”もので、今はただの機械の塊になってしまっていた。
ベコッと中心が思いっきりへこんでいるあたり、これは銀時の木刀か神楽の傘か・・・。
さらにバキバキにキーボードが取れているあたりなんて、新八の眼鏡アタック「そんなのねぇよォォォ!!!」・・・じゃなかった。
と、とにかく新八がやったに違いない。
は怒りのあまり、笑顔になってしまっている。
その笑顔が逆に恐ろしい・・・銀時、新八、神楽の三人は真っ青に血相を変えた。
「ぎっ、銀ちゃんアル!」
「なっ!?てめぇ神楽ァァァ!?し、新八だよ!!俺の神聖なる木刀を使って日頃の鬱憤をパソコンにだなぁ・・・」
「テメェいい加減なこと言ってんじゃねぇよォォォッッッ!!!神楽ちゃんですってば!!!」
「何をメガネェ!!!!テメェの眼鏡にグルグルを書いてのほほんキャラにさせるぞ!!!!」
「望むところだァァァァアアアアァァッッッッ!!!!!!」
「俺も入れろコノヤロォォォッ!!!!!!」
フルフルと拳が震えてきて、ついに怒りが頂点へ立ったようだ。
「ダァァうるせェェェッ!!!テメェらそこへ直れやコルァァァッッ!!!!」
いつもは温厚なも、小説家という仕事が絡むと恐ろしいほど怖くなるのだ。
それは何度も証明されていたことで、銀時はもちろん新八や神楽も知っていた。
何度もとばっちりを受けたことがあるのだが、こんなケースでは初めてだ。
「・・・で、銀ちゃんから何があったか話してみなさい。」
ザッと巨大な扇子を広げ、ビッと銀時の首が切れんばかりの速さで突きつけた。
うっ!と、さすがの銀時も恐ろしさのあまり吐いてしまう。
「へ、ヘイ!あっしがこの部屋に入ったとき、丁度新八之助が入れ違ったんでやんす。」
「ほぅ、それでおんしが入るとわらわの相棒が息絶えておったか・・・って、舐めとんのかァァァァッ!!!!!」
扇子を思いっきり振り、
「どぅわっ!!!!!???」
銀時の首を思いっきり掠めながら振った。
ツーッと首から血が一筋流れるあたり、本気だったことが解る。
よけなかったらどうなっていたか・・・銀時が恐ろしくて震えてしまった。
「それで新八之助、おんしはどうじゃ!?わらわの相棒を殺ったやつを見たのかぞぇ?」
「あの・・・お言葉ですがさん、そのキャラで進めるつもりですか・・・?」
「るせぇんだよっ!!!テメェも真似しやがれやァァァッ!!!!!!!!」
「はっ、はい!!!!!」
銀時の一例を見ていた新八は、素直に従った。
それによれば、新八はの相棒を殺ったやつは見ておらず、窓から何処かへ逃げて行ったそうだ。
新八がそのあとで相棒を見たら、もうやられていたそうだ。
「・・・ふーん・・・さぁ次は神楽ちゃん!!!」
「ちょっと待て!!!僕の説明はセリフじゃねぇの!?!喋らせろよォォォ「うるせぇ黙ってな」
ゴンッ!!と扇子で思いっきり撃たれ、新八之助は無残にも気絶をしてしまったらしい。
敵の前で気絶なんて、危ないに決まっているのだが・・・まぁ相手はだから仕方がないだろう。
「姫!わしは銀時三郎之助が出てくるときに巣昆布之太郎に会いに行くと、もう相棒殿が!!!」
「神楽ちゃんそのネタはもういいのよ。」
「新八之雪之四郎之助がやったに違いないですぜっ!!!!!!!!!!!!!」
「之が多いし何じゃそのセンスのねぇ名前はァァアアアッッッッ!!!!!!!!!」
ドガァァァン!!!!!!っと風が刃を向いて神楽に襲い掛かる。
あまりの怖さに、目を白くさせて間抜けな顔で倒れてしまった。
「・・・・・・あんたまだ起きてるのね」
般若のような怒りを背負い、またしても笑顔のが振り返る。
「犯人はあんたってことで決定」
「何ィィィイイイイッッッ!!!!!???」
この日、風がかぶき町を吹き抜けることはなかった。
なぜなら全て、が集めて銀時に向けたからだった。
毎度のことながら、万事屋は血の惨劇になったのだった。
のパソコンを壊したのは一体誰だったのだろう。
彼女は3人だと思っているのだが、銀時たちの間では本当にやっていなかったのだ。
冤罪をかぶせた犯人は、未だに野放しとなっているのであった・・・。