働かざるもの食うべからずって言葉知らない?要は、てめェ食うな♪
「銀ちゃんさァ・・・なんなわけ?」
はこめかみに独特のキレたマークを入れて、微笑んだ。
「んあ?なんだ。欲しいのか?」
目の前の銀時は尚も手を止めない。
更に言えば、銀時の目の前には特大の手作りパフェが。
「・・・おかしいなぁ、目の前の大きなものはなんだろう?」
「何言ってんだ?コレはチーズケーキだろうが」
「機嫌とろうとしない!!!そのパフェのお金は何処から出したの!!!」
何を言おうとは扇子で銀時を殴ろうとしているようだ。
「・・・降ってきたんだよ「そんな夢物語、私も書いてみたいわ。」
「・・・おっちゃんがくれたんだよ「へぇ〜、じゃあ紹介してくれないかしら?」
「・・・、忘れたのか?ほら、アレだよ「どのアレよ?いっぱいあってわかんないし。」
「・・・お前も食うか?「てめェ大概にしやがれやコラァァァ!!!」
ことごとく否定し、最後にはキレる。
の手が勢いよく降ろされた。
「わ〜るかったってチャン!」
それを銀時は、木刀を以ってギリギリで止め、特大パフェと共にソファを離れた。
「・・・もういいです。今日の晩御飯、私は知らない」
「なっ!!オイオイどうするんだ!?」
はお妙さんに習った睨みを利かせ、一言吐いた。
「実家に帰らせていただきます」
「実家って何処デスカさん。お前が此処にもともと住んでたんだろォ?」
「・・・お登勢さんのところ」
なんだ、とばかりに銀時は再びパフェをつつき始めた。
「・・・もぉいいっっ!!兎に角今日の晩御飯は知りません!!」
は1泊分の荷物を詰め込み、扇子も持って出て行った。
・・・ドアの前で、呟いてから。
「あっ、総悟くんのところは絶対迎えてくれそう。真選組に泊めてもらお」
「何ィィ!!!ソレはダメだ!!!」
「るせぇ、来るんじゃねぇよ!!」
「小さく呟いた!?キャラ変わってるよオイィィ!!!」
正確には、呼び戻そうとした銀時を思いっきり広げた扇子でカマイタチを味あわせて出た。
神楽ちゃんが起きてきたら吃驚するかな?銀ちゃんカマイタチ受けて血だらけだろうしね。
と、は苦笑しただろう。
「さ〜て、どうしようかな」
とりあえず階段を降りたところで留まってみる。
しかしの心の中に、『戻る』という選択肢は残されていない。
なんせ、銀時はロクに依頼をこなさない割に、出費だけは嵩ませる。
は自分の執筆したギャラで養うのは大っ嫌いなのだ。
「それなのに・・・あんなデカイパフェ・・・絶対食費を節約よ。だから絶対帰ってやるもんか!!!」
しかし、何処に行こうか迷っている。
さっき言った真選組は所詮冗談に過ぎなかった。
しかし、お登勢のところに行くにしても銀時にバレたらそれまでだ。
此処より遠くて、バレない場所・・・
「・・・あーもう、考えるのめんどくさいなぁ」
はスクッと立ち上がり、大きく伸びをした。
「ホントに行っちゃお。総悟くんなら大丈夫だよね」
あの腹黒王子の何処が信用なるのか・・・とりあえずは真選組屯所に向かうことにした。
此処からが問題だ。
の目の前には屯所がある。
いつも、演舞をしに行くときは沖田が屯所前で迎えてくれる。
しかし・・・今日はアポなし。
沖田が屯所前に居るわけがない。
「ど、どうしよう・・・」
目の前の問題を解決することが先決だ。
泊めてもらうこと以前の問題に、は早速頭を抱えることになった。
「勝手に入っていいのかな・・・それはでも不法侵入に値するのでは・・・」
「何をブツブツ言ってんだ??」
ふと後ろから聞こえた声に、は驚いて思いっきり振り向く。
そこにいたのは、瞳孔が開ききったヘビースモーカーの人だった。
「あ・・・こんにちわ」
一応此処は挨拶かと思って頭を下げてみたが、
「いや、そうじゃねぇだろ」
土方のツッコミが飛ぶだけだった。
真選組の副長である土方に出会った・・・なんという偶然なんだろう。
しかし、コレは利用するしかない!!
の目は内側でキラめいた。
「お願いがあるんです!!!」
「・・・・・はァ??」
呆れていた土方に、は今までの経緯を話した。
「・・・って言うことで、総悟くんに会いたいんです」
「あのヤロウ、バカじゃねぇのか?」
経緯を話し終えたは今更ながらに気付いた。
そうだ・・・土方さんって銀ちゃんが嫌いだったんだ。
「あ・・・あはは、まぁ気にしないで、目の前の問題に取り組みましょう」
「お前がまとめてどーするんだ!!」
さすが突っ込みの土方、にも欠かさず突っ込みを入れる。
「で、屯所に入っていいですか?」
「あぁ、勝手に入ればいいぜ」
「えぇっ!!」
土方の言葉に素っ頓狂な声を上げてしまった。
「他人をあっさり入れていいんですか!?」
しかしケロッとしたもんだ。
「入りたくないのか、入りたいのか、どっちなんだ」
「はっ、入ります!!!」
はそのまま行こうとしたが・・・ふと立ち止まり、振り返る。
「そういえば、土方さん今までの話聞いてました?」
土方は怪訝そうに「あァ?」と言う。
「私一日だけ家出して来たんですよ?総悟くんに会わせてくれるって事は、泊めてくれるって事ですか?」
土方は、(あの怖〜い顔で)微笑み、「早く行ってこい」と言うだけだった。
沖田の部屋は、前に教えてもらったことがある。
此処かな、と粗方に部屋を決め、そっと開けてみる。
「総悟く〜ん・・・いる〜??」
「へィ、どうしやした?さん」
そこに、机に向かって必死に何か考えている総悟の姿がいた。
真剣そうだが、ふと気付いて顔を上げる。
「・・・さん?なんで居るんですかィ?」
「今、普通に返事してたくせに」
苦笑して、部屋の中に入った。
「何してるの?」
机の上にある紙を覗くと、そこに「土方さん暗殺計画書〜バズーカ編〜」と書いてあった。
「副長になるために考えてたんでさァ。
「へぇ〜、総悟くんが机に向かってるの始めてみた!」
マジマジとの目はその紙に向かれている。
「俺もたまにはしやすぜ。ところでさんは?」
は沖田のほうを見て、今までの経緯を再び説明した。
「・・・で、総悟くんなら分かってくれるかなと思って。泊めてもらいに来たの」
「そうなんですかィ。そりゃあ旦那も良い事をしてくれた・・・」
「へ?なんて??」
「なんでもないですぜ」
爽やかな微笑を見れば、も微笑んでしまう。
しかし、彼女はその裏で何を考えてるのかわかっていない。
「さん・・・俺の部屋に泊まるんですかィ?」
「へ?」
そういえば・・・考えてなかった。
はそれでも「ま、いっか」と言い、
「総悟くんなら安心だもんね」
男として見られてないのか・・・でも沖田にとって好都合だ。
「さん、何があっても保障はしやせんぜ」
「大丈夫!!」
明るい笑顔で彼女は言った。
「もし言ったらきっと総悟くんは八つ裂きになっちゃうし」
「・・・・はァ?」
「私と風は怒らせたら怖いよ〜??」
確かに・・・その通りかもしれない。
現に銀時はカマイタチの餌食になったのだから。
「はァ〜〜・・・さんには叶いませんなァ」
苦笑した沖田は、立ち上がって障子を開けた。
「何処か行くの?」
不安そうなの表情を見て、優しく微笑んだ。
「もう一つ布団を取ってきやす。それとも、俺と一緒に寝ますかィ?」
「ゴホン!(ザッと扇子を広げた)」
「嘘ですって。さんに嫌われることは何があろうと出来ませんしね」
微笑んだまま、出て行った。
「・・・??それってどういう意味??」
恋愛を学んでないには少し早すぎた言葉だったのか・・・?
彼女は理解していない。
結局その日は真選組にお世話になった。
しかし沖田の部屋に泊まらずに、一つ部屋を用意してくれたのだが。
近藤にバレ、は姫君のような接待をされたのはまた別の話・・・。
「いいなぁ〜真選組!!また泊まりに来ようかな!!!」
満足なが帰ってきたあとの万事屋銀ちゃんでは、
晩御飯の食材がなくて死にそうな銀時と神楽・定春がいた。
そんな目にあってもパフェを食べ続ける銀時にキレては、は真選組にお世話になることははたまた別の話。