にゃ〜にゃ〜うるせぇッ!!せめてワンにしなさいッ!!!





「銀ちゃあ〜〜んっ!お願いがあるの」
 甘え上手なは、今日もぎゅっと後ろから抱き付く。
「んー、今日は何だァ?」
 そんなを嬉しそうに抱き締めて、にやけた顔で銀時は返した。
 笑顔な彼女は口からとんでもない言葉を出した。

「私の肩を揉んで欲しいのにゃ〜!」
「・・・にゃ?!なんだそりゃあ!」

 きょとんとしていたが、は首を捻って呟いた。
「甘えるための得策その一」
「その変な語尾がか!?神楽を思い出すじゃねぇか、やめとけやめとけ」
 銀時はを目の前に座らせて説教じみたことをする。
 しかしは逆に膨れて、

「じゃあ、2パターンするからどっちが良いか選んでよ!?」
「ハイハイ」

 ゴホンッと一つ咳をして、は銀時を見据えた。

「銀ちゃんお願い、肩揉んで」

 そして1回下を向き、もう一度見据える。

「銀ちゃんお願い、肩揉んで欲しいの
にゃ〜

 二つとも聞いていた銀時は、後者のを見た途端何か変な
魔法にかかったような感じになった。


「ね、どっちで頼んだら揉んでくれるの??」
 さっきまで執筆していたため、肩が凝っている。
 は痺れを切らして尋ねてみたら・・・


・・・お前可愛いなァーーー!!!!」
「きゃっ!!」
 抱き締められる始末・・・

「ちょっ、誰が抱き締めろと言ったぁ!!!」
「その語尾が言ってんだよ!」
ワケわかんないっ!!離れなさい〜〜〜〜〜!!!」

 計算ミスとばかりには慌てて銀時を押しのける。
 しかし「にゃ」効果の銀時は強かった。


さん?小説書きは終わったんですか・・・って、
なにやってんだァァァ!!!!!
 運良く新八くんが来てくれたから良かった・・・!!
 は心底そう思ったそうな。


「それにしても、ホントに肩凝ってる・・・」
 彼女の目は、新八を移した。
 頭の上に電球が光り、目が輝いたような表情に見えたのは気のせいだろうか。


「ね〜ぇ、新八くん?お願いがあるの!」
 新八は銀時からに目を移した。
「え??なんですか??」

 銀時は嫌な予感がした。

「肩揉んでにゃ〜〜〜!!」
にゃ!!???ちょ、さんどうしちゃったんです!?」
「やっぱりな・・・今度は新八に頼みやがったか」

 思ったとおり、今度は新八に「にゃ」を使ってお願いをしていた。

「ぎっ、銀さん!!さんに何したんですか!!」
「俺じゃねーよ。が自分で
学んだことだ。微笑ましい限りじゃねーか」
「あんな語尾誰が学ぶんだよッッ!!第一何処に教えてもらえば学べるんだ!!!!」


 銀時と新八を見ていたはボソッと一言。

「ちっ、人選ミスか・・・」


 もちろんそんな言葉二人の耳には入っていなかった。



「ただいまー。帰ったアル!」
 辛そうに肩をまわしていると、玄関から神楽と定春が入ってきた。
「あ、お帰り神楽ちゃんに定春」
 ニコッと微笑み、また銀時たちに目を向ける。

バカ共は何やってるアルか?」
「へ??」
 いつの間にか神楽と定春はの隣で同じように観戦していた。


「絶対銀さんが教えたんだろ!!あんなくだらないこと教える奴ぁ限られんだよ!!!」
「お前絶対小さい頃不良だったろ!!!むやみに人を疑うんじゃないッッ!!!」
誰のせいだァァァッッ!!!!こちとらまだ16歳だっつーの!!!!」
「俺を見習え!!人には甘いものさえあればなんだって許す
寛大さが必要なんだよ!!!!」
「甘いものがないときはどうなんだよ!!!!」

「あー、これ??」
 もう語尾など関係ないケンカを見ながら、は微笑んだ。
責任転嫁よ」
「セキニンテンカ?なにヨ、それ?」
「うーん・・罪の擦り合いってところかな?」

 さて、とは立ち上がり、再び肩をまわした。
「私は担当さんに出来上がった小説出しに行ってくるから、神楽ちゃん後片付けよろしく!!」
「おうよ!!思いっきりやって良いアル?」

 は意地悪な笑顔を作った。

「もちろん!
神が許さなくても私が許すわ
「そうこなくちゃ!!行くヨロシ、定春!!」



 が扉を閉めたとき、丁度二人の悲鳴が聞こえた。


 その声を聴きながら、彼女は苦笑する。
 
 カンカンと音を立てながら、階段を降りていった。



「そーだ、総悟くんに『ありがとう』って言っておかなきゃね」