毎日毎日飽きもせずチーズケーキばっか食ってんじゃねェェェ!!!
「っああぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!」
『万事屋銀ちゃん』で突如聞こえた叫び声・・・それは、台所から聞こえた。
「さんっっ!?」
「どうした!!」
「銀ちゃァァァんッッッ!!!!」ドシャァッ!!!!
銀時は傘の衝撃で壁に叩きつけられた。
「・・・にしやがんだァァァァァァ!!!」
「テメェなにしやがったアルか!!私のに手を出したネッッ!!!」
ガシャコンと火を吹く直前の傘が鳴いた。
「ちょっ、落ち着いて「何だとメガネェ!!テメェの唯一大事な眼鏡を叩き割るぞォォォ!!!!」
「オィィィ!!キャラ変わってるぞ!!」
神楽の(勘違いな)怒りは、新八まで巻き込もうとしていた。
思いっきり新八を飛ばしたそのとき、台所から無言のが出てきた。
「・・・チャン・・・?」
銀時の問いかけも反応しないで、財布を持つ。
その無言な彼女が妙に怖いのは、気のせいか・・・。
愛用の扇子を持って、は静かに玄関を出て行った。
それはもう、『邪魔するなら遠慮なく飛ばします』みたいなオーラが出ていた。
「「「・・・・・・・・・・・・」」」
そんな彼女に声をかけられず、3人(正確には神楽だけ)は後姿を見送った・・・。
は大のチーズ好きだ。
チーズのとろけ具合も好きだが、とりわけ好きなのはチーズケーキ。
毎日のように食べ、それは小説の締め切り前だって同じだ。
とある店のレアチーズケーキが大好きだ。
「はぁあ〜〜〜〜・・・なんでチーズケーキ切らしちゃってたんだろう・・・」
先ほどの叫び声は、チーズケーキがないことを示していた。
の足取りは重く、後悔の念でいっぱいとなっている。
そして、常連になってしまった、洋菓子店『桜屋』に向かった。
さすが有名な洋菓子店、とても繁盛している。
「こんにちわ〜〜〜!!」
の声に反応した店員が、満面の笑顔で彼女の方に近づいてくる。
「いらっしゃいさん!今日は何を食べる?」
「えーっと・・・」
ふと、銀時・新八・神楽の顔が浮かんだ。
買って帰ってあげたら喜ぶだろうか。
「ショートケーキ一つに、モンブラン一つ、あとプリンアラモード一つに・・・レアチーズケーキ10個!!」
「「10個ォォォ!?!??!」」
周りの客はのほうを見て叫んだ。
「あっ、ホールでお願いしまーす!」
「はーい、いつもどおり10個ね!」
「「ホールかよ!!!しかもいつも頼んでるんだちゃん!!!!」」
店員のケロッとした顔を見ると、いつもそれくらい頼んでいることが目に見える。
左右に大きな袋をぶら下げ、は嬉しそうに町を歩いていた。
帰ったらチーズケーキを頬張ることしか考えていなく、きっと明日原稿を取りに来る担当さんは涙を見るだろう。
しかし執筆を続ける気はないらしく、30秒ごとに手にぶら下がってる袋を見つめている。
「さんじゃないですかィ?」
「へっ?」
丁度見つめていたとき、ふと前から声が聞こえた。
「あ、総悟くんだ。」
独特の喋り方の総悟は、大きな袋に驚いたけどすぐに笑顔になった。
「そんな大荷物で、どうしたんだィ?」
「ん〜?そんなに重くないよ。全部ケーキだからね!!」
「・・・ケーキ・・・その量で?」
「うんっ!!」
唖然としてたけど、すぐにの右手の袋を取った。
「え?」
吃驚して見つめたに向かって、(お決まりの)爽やかな微笑み。
「俺も見回り終わったんでさァ、屯所にでも来ませんかィ?」
「・・・・・・」
早く帰って冷蔵庫に入れたいという思いがの中でよぎったが、ソレは屯所の冷蔵庫を借りることで解消した。
次に、万事屋メンバーに買ったケーキの分だが、それも頭の中では解決してしまった。
「・・・うん、お邪魔しようかな♪」
「じゃ〜行きましょうや」
半分を総悟に持たれ、左手を再び半分で持ったは頷いて総悟の後をついていった。
「ちゃァァァァんッッッ!!!」
屯所に着くなりはケーキを冷蔵庫に入れる。
そこはちゃっかりしているみたいで、後ろで総悟も感心そうに見ていたそのときに聞こえた大声。
乱暴な足音は徐々に近づき・・・
「久しぶりじゃないかァァァ〜〜〜〜!!!」
「へ?・・・ぅきゃあっ!!!」
丁度振り向いたを抱き締めるようにダイブする姿が見えた。
後ろにドタッと倒れながらも、抱きついてきた人物が誰かと判断するためには半身を起こす。
「・・・近藤さん、なにしてるんです・・・?」
のお腹付近に抱きついているのは、真選組の局長である近藤。
確かに久しぶりに会ったみたいだが、これじゃあが押し倒されている状態だ。
「近藤さん、さんから離れないとケツ毛が縮れますぜィ?」
ガシャンッと構えた総悟は笑顔になっている。
しかし、その構えたものは・・・バズーカ。
「こ、近藤さん危ないですよ!?」
総悟の笑みが恐ろしかったのか、は慌てて離れようとしたのだった。
「オイ総悟、その角度じゃあに当たるだろ」
またまた誰か登場した・・・今度は副長の土方。
「大丈夫ですぜ、俺は生まれてこの方ヒットしたことはありやせん」
「ねェのか!?何処が大丈夫なんだよ!!!」
「この通り」
ズガンッと大きな音、そして辺りを真っ白な煙が包んだ。
「な・・・なに・・・?」
には何がなんだかよく分からなかったが、ソレは近くからのものらしい。
霧のような煙が晴れると、土方に向かって総悟が撃った弾が床を貫いているのが見えた。
「なんでこっち向いてんだ総悟ォォォ!!」
咄嗟に避けたらしく、土方は真っ青になって叫んだ・・いや、突っ込んだ。
「チッ、しくじったか」
「今何か聞こえたぞ!!コラこっち向けェェッッ!!!!」
「土方さんの後釜は俺が勤めますんで、安心して眠ってくださィ」
「まだ死んでないから!!!勝手に殺すな!!!」
「・・・真選組は、今日も賑やかですねぇ・・・」
「まぁな。これが俺らの日常だからさ」
抱きついたまま近藤はそう呟く。
こんな日常やだなぁ、と誰かが心の中で思ってしまった。
事は落ち着き、それぞれの前にはケーキが置かれた。
近藤はモンブラン、土方はショートケーキ、総悟はプリンアラモード、そしてはチーズケーキ。
真撰組3人はを見た・・・きっと、チーズケーキが円になっているからだろう。
「ちゃん・・・そんなに食うの?」
「はいっ♪」
はやっと食べれることに喜びを噛み締めている。
「さ、皆さんどうぞ召し上がれ!!」
「あぁ・・・なんか悪ぃな」
フォークで一口掬い、土方が呟く。
しかしはケロッと答えた。
「いいんですよ。どーせ銀ちゃんたちに買ったんだし」
哀れだと思っていないのか、総悟はパクパクと食べている。
ちょっとしたお茶会は、夕方になるまで続いた。
「たっだいまー!!」
チーズケーキを1ホール食べて上機嫌なは、太陽が傾ききったときに帰ってきた。
「さん遅かったですね」
「まぁね〜♪」
今日は泊まるつもりなのか、新八が笑顔で出迎えてくれた。
銀時はいつものようにソファで寝ている・・・ジャンプを顔に乗せて。
「・・・あれ、神楽ちゃんは?」
「神楽ちゃんなら、昼寝してますよ」
新八が指した先は、押入れ。
昼寝かぁ、とは肩をすくめたが、思い出したように叫んだ。
「あっそーだ、みんなにお土産ケーキを買ってきたんだよ!」
「なにっ!?マジでッッッ!!?」
その言葉に銀時はジャンプをかなぐり捨て、飛び起きての視線に入れる。
は、そのまま笑顔で言った。
「だけどね、総悟くんに会って真撰組屯所に行って、あげちゃった♪」
「何だとォォォォォッッッ!!!!!!!!!」
銀時は発狂した・・・きっと今日甘いものを食べてない故だろう。
「なんでアイツらの胃の中に入れちゃうのォォっ!?銀さん哀しい〜〜!!!」
とか何とか言いながら、新八の首を絞めている。
「ぎっ、銀さん苦しいって・・・!!!!グハァッ!!」
に暴力などが出来ないため、怒りが新八に行ったのだろう・・・可哀想に。
申し訳ない思いだっただが、段々この煩い空気がムカついてくる。
8分ほどだったとき、遂に堪忍袋の緒が切れた・・・
は背負っていた扇子を思いっきり前で落とし、勢いよく広げた。
ズドンッと音が響き、の親指が上にビッと上がる。
「これ以上騒ぐのなら・・・・・・昇天しな」
「「ごめんなさいすいませんもうしませんてゆーか怖いですサンキャラ変わってます」」
新八まで謝ることはないだろう・・・。
兎に角、が全てだという事が分かった今日この頃。