仕事上、いろいろなものを良く見かける。
そうでなくても、私はよくストーンショップに足を運ぶんだけどね。
という訳で昨日、全部集まったわけです。
金や銀もある。
玻璃は水晶だから、簡単に集まった。
真珠も結構簡単だった。
珊瑚はちょっと苦戦したけど、それ以上だったのは瑪瑙。
赤褐色がかかっている、私の誕生石の一つだ。
私は八月生まれだからペリドットのほかに、アゲード(瑪瑙)も誕生石に当てはまる。
特に嬉しかったのは、昨日手に入れた瑠璃石。
ラピスラズリと言って、私はその呼び名の方が好き。
聖母マリアの服の色に使われてたんだって。
そのためこの色は、マドンナ・ブルーとも呼ばれるらしいけど・・・ラピスラズリのほうがよく聞く。
たくさんの種類から構成されるため、金色の小片を含んでいることが多く、大変綺麗なんだって。
・・・え?どうしてそんなに知ってるか?
だって、七宝全てを調べたんだもん。
だから、私の部屋にはこの度、コレクションが増えた。
7体のテディそれぞれの隣に、まるでその色を司っているように置いてみた。
アンリエットにないのは可哀想だから、朱華(はねず)色の石が付いたペンダントをつけてあげた。
「思はじと言ひてしものを朱華色の 移ろひやすき我が心かも・・・・・・なんちゃって」
もう誰かを想うことなど止めようと言っていた私は、また恋をしている。
そんな私の心はあたかも朱華の色のように移ろいやすい。
そういう意味を歌ったもの。
はぁ〜・・・ハマると、とことんハマる私です。
そう、サイトで見てから万葉集にも凝ってるの。
「まるで私だわ・・・そだっ!」
志摩くん呼んでみよ〜。
携帯を出した私は、慣れた手つきで電話をする。
そして、その恋の相手を呼び出すことにしたのです。
「志摩くんいらっしゃい!!」
「おぅ、どうした?」
いきなり呼びつけたにもかかわらず、志摩くんは家の中の涼しさで笑顔になっている。
「見て欲しいものがあるんだって!」
「あ?うわっ、引っ張るなって!!」
コレが引っ張らずにいられます!?
早く極楽浄土の世界に誘いたいの〜!!
「みてみてっ!!」
部屋のドアを開けて、ジャーンと右手を勢いよく出す・・・が。
「・・・何処が変わったんだ?」
「・・・へ?」
七宝が揃って極楽浄土・・・には程遠い私の部屋。
確かに、志摩くんは解んないよね。
「7体のテディの所に極楽浄土の七宝を増やしたから、一番に志摩くんに見て欲しかったわけよ」
「七宝・・・って何だ?」
きょとんとして、テディのところを見る志摩くん。
「・・・もしかして、極楽浄土も知らない?」
「あぁ・・・まずいか?」
・・・ありえない。
「・・・もういい!」
なんで一番志摩くんに見てもらいたかったのか・・・
私はそんな彼の隣をすり抜けて、リビングに降りていった。
「なんだぁ?」
志摩くんは不思議に思いながら、私の後を追いかけて行った。
極楽浄土・・・私は、なにをしてたのだろうか。
なにも気付きはしない志摩くんは、そんなの知るわけない・・・か。
私のため息は、無常にも空気と共に同化した。