「でねっ、鉛筆に消しゴムはいるけど、ペンに修正液って結構使わないと思うの」
「そうか?ペンはよく使うから、修正液で直さないと」
「でも、鉛筆の方がよく間違えるよー?」
内容を聞けば、なんともアホなことなのだが・・・本人達は意外と真剣に話し合っている。
その発端は、もちろんだ。
ふと、「パソコンには必ずマウスが付き物だよねー・・・どうして鉛筆とペンにもペアがあるんだろ?」
と呟き、香を困らせていた。
しかし、やがて香もの天然ペースに乗せられる始末。
「ペア」という議題のもと、2人は話し合っていた。(いい大人が何してんだか・・・)
「・・・要は、どっちもペアは必要なのね」
「そうだな、確かに」
二人の意見はまとまり、それは終わる・・・と、香は思ったが。
そう簡単には終わらない。
終わらせてくれない。
「ね、じゃあ香ちゃんは?」
「は?」
何を言ってるんだは・・・とか思いながらも、香は考える。(面倒見がいい事で・・・)
「俺は・・・キョウかな?」
「キョウさん?」
はすぐに返す。
「キョウさんって誰だっけ?」
「え、知らなかったっけ?」
そう、はキョウの存在を知らない。
驚いたものの、香は丁寧に「キョウ」について説明してくれた。
「へぇ〜、じゃあ香ちゃんのペアはキョウさんだっ!!」
納得したように頷いている。
果たして、同じ年齢なのに・・・が子供っぽいのか、香が大人っぽいのか。
「じゃあ私は誰だろう・・・」
リコ!?とか、お兄ちゃん!?とか言っては見るものの、違うらしく首を捻る。
「はやっぱり志摩さんでしょ」
「・・・・・んなぁっ!!?」
深い意味はないのに、の頬が少し赤くなる。
「な、なんでっ!?」
「なんでって・・・」
香は面白そうに笑っていた。
「よく一緒にいるし、二人とも子供みたいで似てるし」
「・・・それは褒めてるの?」
「ご想像の通り」
「・・・・・・・・・・・・」
こうして、香が勝利したまま、議会は幕を閉じた。
それ以来、がこの議題を口に出すことはなかった。