電話越しのキミ






 辺りは暗く、あちこちに灯りが燈りだす。
 その灯りはとても明るく、星々とリンクしていた。

「・・・あ、すごい・・・」
 その光は、窓から空を見たが思わず呟くほどだった。

「・・・そーだ」
 ベッドの上に投げていた携帯を掴み、ある人に電話を入れてみる。

「志摩くん、起きてるかなぁ・・・」
 携帯を見ないで弄っていく。
 それはもう、慣れているようだった。

『志摩 義経』と書いてあった画面を見て、微笑みながら発信ボタンを押した。


 いつまでたっても、彼は出ない。
 しかしそれは彼女の思惑通りだろう、切ろうとはしなかった。



『・・・・・・・・なんだよ』
 やがて、志摩の眠さと怒りを交えた声が機械越しに聞こえた。
「やっほ〜志摩くん、起きた?」
 しかし、逆には嬉しそうだ。
『・・・・起きるまで鳴らしたヤツがよく言うぜ・・・』
 もうすっかり眼が覚めてしまったらしい、志摩が電話を切ることはなかった。

「窓、見て」
『はぁ?』
 怪訝な声を出しつつも、志摩は窓の外を見たらしく

『うわ・・・すげェな、今日は!!』
「でしょー!?星がすっごい出てるの!」
 やっと分かってくれたことが嬉しかったらしい、の声も弾んでいた。


「そんだけなんだけどね。」
『なんだそりゃ、損だけのためにおれを起こしたのか!?』
「まぁまぁ気にしないで。じゃあおやすみ!」
『・・・・・あぁ、おやすみ』



 電話を切ったが、はまだ星を見ている。



「・・・・・志摩くん、だーい好きだよ」



 その言葉は、まだ星を見ていた志摩まで届けてくれただろうか。