明日は休み。
 やっとよろず屋の手伝いが出来る!
 放課後、私は早速依頼があったところに向かった。






Nursery Rhyme [ハンプティ・ダンプティ]






「もしもし志摩くん?うん、終わったよー!」

 校庭に出た途端、私の携帯は志摩くんへ繋げた。
 電話越しの志摩くんは声を弾ませて何処にいるか伝えた。
「うん、わかった!靴?ローラーブレードだけど・・・あ、でも普通の靴も持ってきた!」
 この後御用だからね、いつもは持ってこないんだけど。
「うん、うん。じゃ〜あとでっ!」
 電話を切って、私は鞄を持ち直す。
 場所はちょっと遠いけど、私はローラーブレードを走らせた。



「はぁ、はぁ、はぁ・・・あ゛〜〜〜疲れたっ!!!」
 行く時は意気込んだけど、着いた時はかなりの疲労感に襲われた。
「お、来たな!」
「志摩くん!」
 小さい門前に立ってたのは志摩くん。
 今回はよろず屋東海道本舗の依頼なんだって。
 今日まで学校だったけど、明日から少し休み!だから私も手伝うことにしたの。

「で、御用の内容は?」
「ん?まぁ中に入れよ」
 門を開け、私は志摩くんに付いて中に入った。
 中は小さい庭があり、すぐ3階建ての校舎が映った。
 庭の横のグラウンドも大して大きくなく、小規模な学校だ。
「ぅわぁ〜、見てみて!桜!!」
 とても大きく、一本の桜が花びらを落としながら私たちを迎えてくれた。
「だろ?この桜だけは立派に咲いてるんだよなー」
 志摩くんも上を見上げながら校舎に向かった。

 中に入り、靴を履き替えた。
 ローラーブレードを置いて、待ってくれてた志摩くんに再び付いていった。

、来たね」
 近くの教室に、香ちゃんとが・・・って、あれ?
「やっほー!」
っ!!あんたなんで此処にいるの!?」
 きょとんとしたは「だって私、天空問屋だし?」なんて言ってる。
「学校はどうしたのよー!!」
「あんたみたいに真面目じゃないの」
「うっ・・・」
 だ、だってさぁ・・・私って真面目なのかな。そうなんだろうか・・・
「まぁいいじゃねぇか!」
 志摩くんの言葉が聞こえる。
 しかたないなぁ。志摩くんに免じて許してやるか。
「で、依頼はなんなの?」
 志摩くんは「あぁ、」と言って続けた。


 2日前のことだった。
 依頼主は淀川 茉莉さんと言い、この“マザー・グース小学校”の校長を務めていたらしい。
 しかしこの学校も廃校になり、人の出入りが全く行われていなかった。
 それ以来、この学校で奇妙な噂が流れていた。「夜人影を目撃する」と・・・。
 その正体を突き止めて欲しいという依頼だ。


「マザー・グース小学校ぉ?」
 変な校名をつけるなぁ・・・
、どーしたの?」
「マザー・グースって言えば、あのイギリスのわらべ歌のことよ?」
 志摩くんと香ちゃんは同じように頷いたが、だけは首を横に捻った。
「・・・はぁー・・・」
 しょうがない。知ってるのを一つ唄ってやるか。


「Humpty Dumpty sat on a wall,
 Humpty Dumpty had a great fall,
 All the king's horses,
 And all the king's men,
 Couldn't put Humpty together again.」

 聴いていたのはだけじゃなくて、志摩くんと香ちゃんも静かになってた。

「ハンプティ・ダンプティ 塀の上
 ハンプティ・ダンプティ 落っこちた
 王様の馬を全部集めても
 王様の歩兵を全部集めても
 ハンプティは元に戻せない」


 唄い終わり、日本語訳もちゃんと言ってあげる。
 拍手が舞い上がった。ちょっと嬉しかった・・・。
「こういう奴だって解った?
すごーい!!」
「・・・おい」
 せっかく唄ってあげたのに・・・と、涙が流れそうになった。
「な、なるほど。残忍なのもあるんやね」
 志摩くんも含め、一生懸命説明をし尽くしたおかげではやっと解ってくれたみたい。
「で、なんでそんな名前を付けたんだろう??」
「よっぽどマザーグースが好きだったんじゃないのか?」
 そうなものなのかなぁ・・・
「とりあえず依頼を遂行するぞ!」
「・・・うん」

 今日はこの学校に泊まることが決定した・・・。

 はっ!!!お化けとか出ない!?
 帰りたいなんて言えるわけもなく、リコを莉璃に頼むハメになってしまった・・・。