「・・・っもう!!わかんないってば!!」
 永倉邸中に大きな声が響く。
 声の主は、家の主人。
 彼女は一人、家で定期考査の勉強に励んでいた。






イングリッシュ ストーリー






 首を捻っていたとき、丁度下でリコの吼える声が聞こえた。
「ん?どうしたんだろ、リコ」
 気分転換か、現実逃避か・・・は机から離れたい気持ちだけで立った。
 部屋を出て、階段を降りる。
「階段は『Stairs』で、綴りが・・・」
 勉強モードのは、動く度に関連付いた単語を口にしている。
 丁度降り終わったとき、丁度チャイムが鳴った。
「はーい!」
 勢いよくドアを開け、人物に感動してみる。
「よっ、
「志摩くん!!丁度良かった!!」
「んあっ!?なんだよ!!!」
 逃げないように、志摩の服をガシッと掴む。
 そして前に手を出した。

「お願い〜〜!!!勉強教えてっ!!」



「・・・で、何で英語なんだ?」
 呆れたように志摩は机の上を見た。
 ・・・いや、さっきまで机だったものだ。
 今は英語の辞書や教科書、ワークやノートで溢れ返っている。
 一方は2階からリビングに教材を下ろし終え、満足している。
「ん?英語だけ勉強してないの」
「他はやったのか?」
「まぁね」

 の成績は悪くない。
 つか、寧ろいいほうだ・・・けど、たった一つの弱点が。
 総合成績を落としている原因は・・・英語。
 しかし、は昔イタリアに行ってるだけあって会話は出来る。
「会話に文法なんていらないのよ!!あ〜〜〜もうめんどくさい!!」
「それが原因か・・・」
 呆れてものが言えない。
 志摩はまさにその様子だ。

 教えて欲しそうに志摩を見るだが・・・はたと気付いた。
「・・・志摩くん、出来るよね?」
「無理」
「即答ですか!!」
 一応(ああ見えても)より2つ年上の志摩だからこその頼みは、無残に砕け散った。
 こうして、再びの勉強+志摩の寛ぎタイムが始まった。



「I live in the town with the very clean lake.」
 一文読んで、次の行に目を移す。
「コレを関係代名詞に書き換えろって事ね・・・」
 頭を抱えながらも、着々と解いていくは、きっと上達が早いほうだ。
 そんな様子を、志摩はソファに転がってみていた。
って発音だけはいいよな」
「『だけは』って何よ。一応本場の英語は聞いてるんだから」
「でも関係代名詞が出来てねぇじゃねぇか!!」
「いちいちそんなの気にしながら話しないのよ!!」

 そう、いちいち気にしながら話さない。
 だからの英語のテストはかなりヤバイ事になっている。
「ほら、日本語を英語に訳せってやつがあるでしょ?それを持ち前の会話力で訳したら絶対駄目なの」
「会話力って何だよ」
「私が聴いたとおりの英語よ」
『文法がなってない』という理由が、の頭に必ず付くのだ。
「・・・しかたねぇなぁ」
 志摩が身体を起こし、のノートを覗き込むように見た。
「おれも久々に勉強するか」
「お、やる気になった?」
「いや、教えることは出来ねぇからな」
「なーんだ」
 志摩も加わり、リコが見る前で英語の勉強会が始まった。

「・・・そういえば、さっきが読んでた英語はどういう意味なんだ?」
「・・・え、I live in the town with the very clean lake?こんなのもわかんないの!?」
「うるせぇ!!おれは2年も英語に触れてないんだよ!!」
「はぁ〜〜・・・これはね、『私はとても綺麗な湖がある街に住んでいます』って意味よ」
「ほぉー、って勉強できるんだな」
「今までのストーリーを台無しにする言葉をどうも」
「ん」
「褒めてないよっっ!!!!」

 雰囲気を出すために、の案によって洋楽が家中に流れている。
 二人は楽しそうだけど、手は全然動いてなかった。

「・・・っだぁあーーーーもう!!わかんねぇ!!」
「私だってわかんないよ〜!もう駄目、英語のテストは水に流そうかな・・・」
「諦めんな!!やれば出来る!!」
「和訳も出来ないキミが言うな!!!」
 もうリコは呆れて眠りに入っていた。
 馬鹿は集まっても結局馬鹿でしかないのだろう。

 ま、楽しければそれでいいんじゃない??(呆)



「・・・ね、志摩くん。これ訳して?」
「あぁ?『I love you who works even with the distasteful thing.』だぁ?」
「うん。関係代名詞が使われてまーす。頑張って作ってみた!」
「長いから無理だ」
「んなっ!!かなりひどいよ今の言葉!!」
「だっておれ、今関係代名詞じゃなくて現在完了形の勉強してるし」
「うっ・・・それもそうね」
「な?で、どういう意味だ??」
「さぁね?自力で訳したら分かるんじゃない??」
「オイ!!そのまんまかよ!!・・・明日、香ちゃんに聞いてみるか」
「えっ!!!それはダメーッ!!!」
「はぁ?なんでだよ??」
「だって・・・(恥ずかしいなんて口に出してもいえない!)」
「よしっ、気になるし聞いてみるか!!」
「あっ、コラ!!紙を取るんじゃありません!!」
「まぁまぁ、明日答えてやるよ」
「ちょっ、待てー!!」

 広い邸内での、English Story...