三時間目の授業が終わり、クラスの人々は解放されたかのように騒ぐ。
私は、後ろの広い棚の上に横になって眠っていた。
私が寝る場所
私の家は、隣接している任侠の人たちとよく夜遅くまで騒いでいる。
お父さんもお酒が入ると子供のようにはしゃぎ、他の大人の人達もそれに習う。
・・・正直言って、煩い。
お母さんの雷が落ちるけど、それまで煩いから寝られないの。
だから、放課後にとても眠くなる・・・けど、今日は別だった。
「・・・・・・眠い・・・・・・」
3時間目が始まる前、我慢していた私は遂に限界を迎え、前の席のにそう訴えた。
はというと、振り向いたとおもったら意外そうな顔をする。
「、もう眠いの?」
いつもなら終わりのホームルームで言うこの言葉、少し理由があるのよ。
「実は・・・今日寝てないの」
「なんで?」
「お母さんが旅行に行ってて、止める人が居なかったの。私以外・・・」
で、お父さんたちに乗せられて私もはしゃいでたら朝だったってこと。
「大変ねぇ、あんたのところも」
「あはは・・・」
机にうつぶせようかと思ったけど、兎に角横になりたかった。
そんな時、私の目に映ったのは一番後ろの棚の上。
「黒板で制服が汚れるかもしれない」と躊躇した私の気持ちより、「横になりたい」気持ちの方が勝ってた。
「さんお願いがあります」
「なんですかさん」
笑いながらも返してくれるユニークさも持ってる、さすが!
「あそこで寝るから先生に言っといてくれない?」
「あそこ??」
指差した向こうを見たは、やっぱり驚いた表情をした。
「・・・マジで?言っとくのはいいけど・・・屋上に行ったりしたら?」
「転校して間もないのにサボるなんて私のポリシーが許さない・・・眠い・・・」
「そこで寝るのもサボることに当てはまると思うのは私だけ?」
そう言ったを横目に、私は棚の上に乗った。
私を見ていたクラスの人々は「・・・さん?」「ちゃん??」などと声がかかるけど、寝る方が先決!
無視を決め込むことにした。
時期に先生が入ってくる。(次の授業は担任の授業だった)
先生は逸早く私に気付いたのか、後ろの棚までやってきた。
「?起きろー!!」
クラスのみんなも後ろに注目している。でも私は知らないし、起きないどころか
「ぅ〜るさい・・・トキ、ナツ・・・黙らせ・・・」
と、居やしないトキとナツの名前まで言ってたりする。
先生は少し困ったように私を呼んでたけど、そこでが登場。
「先生。は一度寝付くとなかなか起きませんよ」
「、しかしだなぁ・・・」
「どこかでサボるより、堂々としてていいと思いますが」
「・・・そうだが・・・」
「それにも大変なんです。夜は家庭上なかなか寝付けないんです」
「そうなのか?」
は本当のことを言ったと思う。確かにどんちゃん騒ぎで“寝付けない”んだもん。
だけどそこをどう勘違いしたのか知らないけど、先生は「・・・そっとしておくか」って言ってくれた。
でも私は愚か、さえも勘違いしたとは知らないから、誰も誤解を解くことが出来ない。
今日の3時間目はお昼寝タイム。
とても満喫していた私は、起きることはなかった。
そして、終わって煩くなった今も眠りについている。
ざわざわと騒ぐ声が煩いかと思うけど、私にとったらスズメの鳴き声のようなものよ。
うちの、しかもお酒が入ったお父さんたちに比べたらとても眠りにつけた。
だけど、途端に静まったときがあった。
ガラガラっと乱暴に開かれたドアの向こうに居た人物をみんなが見たからだった。
「ヒバリさん!!!!」
「ヒバリさんだ!!」
ザワッと大きく騒ぎ、とたんにシーンと静まった。
そんなことを知らない私は、気持ちよさそうに深い眠りについていた。
「・・・これ、どうしたの?」
“これ”って言うのは私のことらしい。指差されて言われたんだって。
「い、いや・・・」
ざわざわと再び少しうるさくなる中、再びの出番。
私の机に頬杖つきながら言った。
「寝てないらしいから眠ってるのよ」
「寝てない?ふーん・・・」
の言葉を聴いて、ジーッと私を見る。
気持ちよさそうな表情なのは、とても楽しい夢を見てたからなんだよね。
「、起きなよ」
そんな呼びかけだけじゃ起きないのは、さっきの授業で明らかになっている。
「・・・ん〜・・・?」
少し意識は戻すけど、ゴロゴロしてる。
「・・・・・・・・・・・・」
何も言わずに見ている雲雀くんを見ているクラスの人達は、息が詰まる思いだったみたい。
チャキン、と聴こえた音に、私がピクッと反応する。
「怪我しても知らないよ」
片方だけ仕込みトンファーを取り出し、ビュンビュンと回した。
寝ながらも、左手は右の腰に当たっていた。
「ちょっとちゃん、ちゃん起こさないととんでもないことになるよ!?」
「そうだよさん、さんを起こしてきてよ!」
トンファー出現に、流石に回りもヤバイと思ったのか唯一起こせそうなに頼んでいたが・・・
はにっこり笑うだけだった。
「大丈夫よ。」
ビュンビュンと振り回していたトンファーを、フッと私の方に向けた。
ガキンッ!!!
李笛で防いだ私が、のっそりと起き上がる。
「ん゛〜〜・・・何?雲雀くん・・・」
うぅ〜〜・・・眠い。
目を擦りながら言うと、雲雀くんににっこり笑われた。
「おはよう、」
「ぅん、おはよう・・・」
「ね、だから大丈夫だって言ったじゃない」
そう言うは“李笛”を知ってるけど、他のみんなはぽかんとしてやり取りを見ていた。
「で、そのトンファーはなんなの?」
雲雀くんがしまう様子を見ながら、私も定位置に李笛を戻した。
「って絶対攻撃を止めるからね。一度怪我してもらいたいんだ」
「・・・さいですか」
起きてよかった・・・。
つか、雲雀くん鬼畜過ぎない!?
すると雲雀くんは少し不服そうな顔をした。
「で、なんでこんな所で寝てるの?」
「へ?」
そんなの、決まってるじゃない。
「眠いから・・・。ふわぁ〜〜う・・・」
欠伸をして、棚から降りる。
うっわ、制服がチョークで汚れてる。パタパタと叩いておいた。
すると雲雀くんは、
「眠いなら応接室に来なよ。は風紀委員なんだし」
「・・・あそこの部屋、風紀のものなの?」
「まぁね」
・・・うそぉっ!!!
だって革張りのソファとかあったはず!!
「じゃあ雲雀くん、眠い時は行く!!」
「うん。じゃあ行こうか」
「・・・はい?」
グイッと手を引っ張られ、私は雲雀くんとともに教室をフェードアウトする。
残されたクラスのメンバーは、何を思ってたのか・・・そんなことは寝てたし知らない。
ただ、後にから「不良の頂点になったの?」なんていう馬鹿げた疑問を言われたけど。
「ねぇ雲雀くん、私4時間目は出るつもりだったんだけどー?」
ふわぁ〜、そう言っても欠伸が止まらない・・・
そんな私を見たのか見てないのか、
「どの道は寝ると思うからね、応接室の方が居心地がいい」
「そうなんだー・・・って、わかんないじゃない!」
・・・そう言っても、雲雀くんの方が正しいと思う。
歩きながらもうとうとし始める私を見た雲雀くんは、呆れて一言。
「寝てばっかりいると太るよ」
敢えて・・・敢えて聞こえないフリをしておいた。
応接室に着くと、私の眠気はピークに達していたわけで。
だって考えてみてよ。
全然寝てないのに、やっと寝られたと思ったら1時間経って起こされたんだから。
中途半端に寝ると余計に眠くなるものよ。
「雲雀くん・・・寝ていい・・・?」
一応了承を取ろうとするんだけど身体は正直なもので、着くなりパタンとソファに倒れこむ。
ぅわ、このソファ寝心地良いわ〜・・・
「いいけど」
やっぱり呆れてるみたい。
だけど、その言葉を聞いた途端に深い眠りについたから、別に良いんだけどさ。
「・・・」
呼んでも反応なし。
寧ろ仰向けになって本格的な眠りにつき始めた。
「・・・襲われても文句言えないよね」
聴こえるはずも無く、すぅすぅと気持ちよさそうに寝息を立て始める。
そっと雲雀くんが近寄り、軽くキスをした。
「・・・ぅう・・・ん・・・」
眠気に負けた私は、そんなことがあったのも知らない。
雀の心、私知らず。
雲雀くんは寝入ってる私に微笑んだ。
「いつか襲ってやるから」