私が教室に戻ってくると、もうクラスのみんなも授業から帰ってきてた。
、何処行ってたの?」
 きょとんとしたの顔を見た途端、私は彼女に抱きついた。
「うわぁん〜〜〜聞いてよっっっっ!!!!」





学ランとセーラー服【最狂の相棒】





「で、有無を言わさず雲雀くんが私を副委員長にさせたんだって!!」
 いつの間にか私たちの周りにも人だかりが出来ていて、
「可哀想だよそれー」とか「さん目をつけられたんだって!」とか声が聴こえる。
 で、当のはというと


「へぇー、仲良くなれそうじゃない。帰るの遅くなるんでしょ?」
「・・・うん」
 期待はずれの反応に、プラスされる。
「おじさんたちには言っとくね。じゃないとトキさんやナツさんが学校に来ちゃいそうだし」
「・・・不本意だけど有難う・・・」

 因みに、トキとナツって言うのは私の家の舎弟のようなもの。
 任侠の集団で最も私が信頼しているのがこの二人なんだ。
 それにしても、ホントやだなぁ委員会。
 委員会と部活には入らない気だったのに、しかも副委員長って。

「ごめんね、一緒に帰れなくて・・・」
 その答えは意外にもあっさりしてて、私を吃驚させた。
「んー?いいよ、頑張りなって!私は彼氏と帰るし」
「えぇっ!?って彼氏いたの!?」
 いやいや初耳だって!!!
 ・・・のおじさんが泣く姿が想像できるけど。

 なんて他愛も無い話をしてたとき、私の背筋を凍らせる声が聴こえた。



 ふと呼ばれた声にビクッと肩を震わせて、硬直してしまった。
 は「あ、雲雀くんだ」って言った。
「なにしてんの、早く委員会行くよ」
「・・・委員長直々お迎えですか・・・」
 この様子を見ていたクラスのみんなは、「哀れ」の目をしてる。
のことよろしくねー雲雀くん」
 早く行きなとばかりに蹴られた・・・酷い、私たち親友じゃないの!?
「任せてよ。さ、行くよ」
 雲雀くんは蹴られた私を掴み、抱き上げた。
「なっ!!ちょっ、降ろしてって!!」
「やだ」
「子供かアンタは!!!」

 腰を抱えられたまま、私は誘拐された・・・(は笑って手を振ってる。覚えてろよあのヤロウ)




 そして連れて行かれた先は会議室前。ここでやっと降ろされた。
「はあ〜もう恥ずかしかった・・・」
 途中いろんな人に注目されたよホント。
 まぁ、そりゃそうか。
 雲雀くんだけでも結構注目されるのに、私を抱えてしかも服装がセーラー服だし。

「あ〜〜〜もうやだ!!帰りたい!!!」
「此処まで来てまだ言う?往生際が悪いね」
「誰のせいよ全く・・・」
 当の本人は私の心の準備さえ待ってくれない。
 ガラッとドアを開け、手を引っ張って入っていった。

 ほら注目されてる。
 別にさ、注目はいいんだけど・・・こういうのはヤダ。

「みんな揃ってる?」
「「は、はい!」」
 雲雀くんに促され、隣に座る。委員会全員の視線が私の方に向いてるけど・・・
 なんでみんな学ラン着てんの?しかも雲雀くんと違ってキチンと前も留めてる。暑くないのかなぁ?

「・・・雲雀くんさぁ、女子は?」
 もう一つ。見る限り風紀委員に女子がいない。
「女子ってなんでも群れて生活するよね。だから嫌い」
「私は?とよく居るけど?」
は別」
「・・・そうなんですか」
 雲雀くんの考えることってわかんない。
 兎に角この委員会で仲良く出来そうな人は皆無だってことかな。

「ひ、ヒバリさん・・・」
 前に一番前に居る人が恐る恐る手を上げた。
「その人は誰ですか・・・?」
 私のこと?
 雲雀くんが私に「自己紹介して」って言ってきた。
 まぁみんなが反対すれば、私は副委員長になれないしね。
 なんて淡い期待を持って立ち上がった。

「えっと、 です。昨日転校してきたのに、何故か副委員長に抜擢されました。転校生です
 よろしくお願いします、と一礼して座ってみる。
 案の定、みんながみんな唖然としていた。
 さぁ、抗議してください!

「だめ?僕が抜擢したんだけど」
 その言葉を聞いた委員達は全員ビクッと肩を震わせて拍手をした。
 ・・・・・・え。歓迎されちゃったよ。
「反対されようとか思っても無駄だよ」
 うぅ゛っ!!雲雀くんがこっち見て微笑みやがった。
 バレてたのか。ってゆーか人の心情読み過ぎだって雲雀くんさぁ・・・

 こうして、本格的に会議は始まった。



「まず1年A組から」
 するとガタッと立ち上がったのがゴツイ人。
「服装の異常はありませんでした。校則も守られているようです」
「うん。じゃ―――次はB組」
 立ち上がる。大きい人だなぁ・・・あれ、顔色悪い?
「・・・すいませんヒバリさん、前回言った奴らがまだスカート丈を改善してませんでした・・・」
 なんか怯えてる。
「・・・ふーん。何処に居た?」
「はい・・・・・・校庭に居ました」

 雲雀くんは立ち上がって、「じゃあ君達も来てね」って言い残して出て行く。
「ちょっ、雲雀くん?」
は此処にいて」
“此処にいて”って・・・何するつもりなの?
 出て行ってから、私は一番前に座る人に訊いてみた。
「何しに行ったの?」
 その人は何故か敬語を使いながら、「き、きっとシメに行ったんだと・・・」って言う。
「はぁっ!?」

『スカート丈』って言ってるくらいだから、相手は女子よね。
 女子にあのトンファー振り回すわけ!?
 そう考えたときにはもう走り出していた。



 校庭に着いた私は現状を見た。
 運動不足かなぁ、ちょっと息が荒くなった。
 だけど、再び走り出した。

 一方雲雀くんの方は、トンファーを一本出してる。
「“直す”って言えば痛い思いしなくて済むのにね」
 一人に向かって笑いかけてる。
 他に一人居たけど、その人達も風紀委員の人達に用捨なく殴られてる。

 もうボロボロじゃない。
 クルクルッと回したトンファーを勢いよく振り下げた。

 ガキィィィン!!!

 前にも聴いたことがあったけど、それよりも強い音でなったのは金属がぶつかる音。

「・・・?」
 少し吃驚した雲雀くんの表情が見えた。

「だから、女の子にっ、暴力は、宜しくないってば!」
 息を切らしながら私は咄嗟に“李笛”でトンファーを止めたのだ。
 ビリビリ痺れてた手の先に、白い装飾の笛・・・これが私の相棒である武器、“李笛”。
「ボロボロじゃない!!」
には関係ないよ」
 もう一本組み立てたトンファーを、また私の後ろの女の子に向かわせる。

「ダメだってば!!!」

 李笛から右手を離し、咄嗟に向けた。

 ガッ!という痛い音とともに刺激もやってくる。
 だけどこんな痛み、慣れていた。

 吃驚してた雲雀くんから身を離し、李笛を一振りした。
 とても小さくカチッと音がし、先から出てきたのは錘が付いてる鎖。
 シャララっという効果音とともに、3メートルほどの長さの鎖が現れた。

「あんたたちもよっ!!!!」
 痛い右腕を気にすることなく、鎖を振って投げた。
 今殴ろうとしていた腕に巻きつき、グッと引っ張る。
「なっ!!!」
 風紀委員も驚いて私のほうを見た。

「そこまでやれば充分でしょ」
 雲雀くんのほうを見た。
 ・・・私に睨んでいた彼は、途端に笑い出した。
「やっぱりって面白い!」
「・・・は??」

 雲雀くんはさっきまでトンファーを向けていた女の子に振り返り、
「明日から直してくるよね」
 と念を押した。
 怯えながら首を縦に振りまくる女の子を見た後、今私が拘束してる風紀委員に向き直った。

「帰ろうか」

 その言葉を聴いて、初めて私が解放する。
 鎖を全て李笛の中にしまう。

は保健室だよ」
「うん・・・手加減しようよホント」
 ズキズキとする腕は、恐ろしいくらい青くなっていた。



 雲雀くんに連れられて、保健室に来た。
 うわぁ、薬臭いのは何処の学校も一緒ね。
「腕だして」
 素直に出すと、慣れた手つきでシップを貼られた。
「痛い・・・・・・」
 今思えば、李笛で攻撃を止めればよかった・・・と、左手に握ってるものを見る。
「なんでこんな無茶するわけ?」
「わかんない・・・」
 だけど雲雀くん、あなたにが言う台詞じゃないわ。


 今度は包帯が巻かれていく。(家に帰ったら問い詰められるだろうなぁ)

「雲雀くんさぁ、いつもあれだけやるの?」
「勿論。風紀委員をナメてたし、群れてたからね」
「・・・ひょっとして人でなし?」
「咬み殺すよ」
「ごめんなさーい」

 出来た、といわれて包帯を見る。
 おぉ〜綺麗に巻かれてる。スゴイなぁ雲雀くんって。

「ありがとう」
「どういたしまして。まぁ僕がやった傷だし」
「ホントよねー」

 あ、ちょっと怒った。
 だけど雲雀くんは私の左手を見てたんだ。
「それ、変わった武器だね」
「あぁ李笛?」
 笛の形をしてるけど、中には鎖がある。これでもちゃんと音色は出るよ、綺麗なの!

 雲雀くんは楽しそうな笑顔で
「僕の攻撃を2度も止めたのってが初めてだよ」
「3度じゃない?」
 包帯を指したけど、「それは違う」って言われた。


 実は、私も包帯を巻くのってホント久しぶりなんだよね。
 いつもはかすり傷くらい(それすら付かないときもある)だし。
 雲雀くんが強い証拠だわ。

「・・・さ、委員会まだでしょ?行こう雲雀くん」
「何?さっきまでは嫌がってたくせに」
「やるならちゃんとしてたいの」
「ふーん」

 雲雀くんと会って、なんか楽しい学校生活を送れそうかも。
 そう思ったけど、敢えて言わなかった。


 でもこの怪我のせいで家族には問い質されるしには驚かれるし、大変だったんだけどね。