お互いしなきゃしなきゃいけないことがあるのは分かってるよ
でもたまには我侭の1つぐらいダメなの?
薄暗い廊下に浮かび上がる、数少ないエクソシスト用の団服。
その人物 ―少女― は小さな背に似合わず、大量のファイルを抱えていた。
「うぅ・・・、重い・・・」
その小さな体で大量の荷物を抱えた少女、はか細く呟いた。
自分の腕の中から溢れんばかりのファイルの所為でふらふらと左右によろめく。
だが、広い本部なので人にぶつかることも無かった。要するに人気が無いのだ。
よって手伝ってもらうことも出来ない。
・・・・・・本人は元々そんなこと全く期待していなかったが。
「ふぅ・・・」
は1つ小さなため息をついた。
浮かび上がるのはずっと会っていないアイツのこと。
しばらく考えに浸っていたが、足が止まっていることに気が付いたは頭を振ると、
急いで科学班のところへ向かうのだった。
「リナリィー・・・。持ってきたよー・・・」
が屍だらけの部屋に向かって声をかける。
すると奥のほうから
「ありがとー!こっちに持ってきてー!」
とその場に似合わない明るい声が返ってきた。
はゆっくりと、廃人と化した科学班の人々に気を配りながら奥へ足を進めるのだった。
「あ、ありがとう。おかげで助かったわ」
地獄と化した部屋に咲く一輪の花の様だとは思った。
可愛らしい笑顔はみんなを癒しているようだ。
どういたしまして。とだけ返し、はすぐさまその場を去ろうとする。
何故だか、今はここにいたくない気がした。
なんとなくだけど、居場所が無いような、変な気分になった。
は無理矢理笑うと、「おやすみ」とだけ告げて歩き出す。
リナリーはそのいつもとは違う様子に疑問を抱いた。
「・・・? ? どうしたの、何かあった?」
「・・・なんにもないよ。ごめん、ほおっておいて?」
は八つ当たりするまいと必死に笑う。堪える。
だが、リナリーは心配そうに話しかけるばかりだ。
「、言ったら楽になることもあるわ。良ければ私が・・・」
「ごめん。1人になりたいから・・・」
はリナリーの言葉を遮りそそくさと立ち去る。
はそんな自分に自己嫌悪しながら。
リナリーはいつもの様子とは全く違う彼女を心配しながら。
残されたのは2人の想いだけだった。
は自分のベッドにダイブする。
そして先程の自分の行為を思い出し、泣きたくなった。
「・・・どうしてあんなことしちゃったんだろうなぁ・・・」
大好きな人に、いつもと何ら変わりない風景に、何故だか嫉妬する。
それを押しとどめることが出来ない弱さ。
全てにおいて嫌気が差した。
羨ましくて、それをなんとなく認めたくなくて。
「子供みたいだよなぁ、それ」
というアイツの言葉が浮かんだ。
今自分がこんな気持ちになったのも、ずっと会っていないアイツの所為だと思う。
ずっと任務が続いているらしい。
任務を放棄することは出来ない。エクソシストだから。
自分も一端のエクソシストだ。それくらいの区別はつく。
だが、アイツと会っていない時間は長すぎた。
それまでほぼ一緒に居れたことが奇跡だったのかと思うほどにだ。
どんな時にもどんな形であっても、自分を必要としてくれた人。
恋人とかそういう甘い関係じゃないけど、とても大事な人。
は起き上がってベッドの上で膝を抱え込み、小さく呟いた。
「・・・会いたいよ・・・」
それは届くことの無い願い。
「・・・ならさっさと言えよ、バカ」
帰ってくることの無いと思っていた声に驚く。それと同時に暖かいものに包まれて、は妙な声を上げた。
「え!? ラ、ラビ!?」
「おうよ、ヒサシブリ、♪」
数ヶ月聞くことの無かった声。記憶と変わらないその声には安堵する。
そしてポロポロと涙を零すに、ラビは焦ること無く優しく問いかけた。
「・・・どうかした? ってか、言わねぇとわかんないぞ?」
ラビがぎゅうっと腕に力を込めると、は小さな声で話し始めた。
「・・・ずっ・・・と、ずっと・・・、待ってたぁ・・・」
「うん」
「・・・・・・っ、さみしかったっ・・・!」
の搾り出すような声に、ラビは密かに笑った。
今、自分の腕の中にいる少女は、こんなにも自分を必要としてくれているのか。
「へいへい、悪かったって。・・・でもオレはここに居るよ?」
照れ隠しにいつものように言えば、泣き止みかけたは嬉しそうに笑って。
「・・・うん!」
兄妹でもない、恋人でもない、友人でもない、ただただお互いを必要とする今の関係が、とラビだけの関係。
「あー・・・、リナリーが心配してたっぽい・・・」
が泣き止み、任務の話に花を咲かせていた時ラビは気まずそうに切り出した。
その途端、の顔から血の気が引いていく。
「きゃああぁぁぁ!!! リナリー!!!」
「おー・・・、煩いからだまらっしゃい」
ラビは耳を塞ぎ、のんびりとした様子で答える。
はキッと睨むと、慌てた様子で話し出した。
「あぁーー・・・!! さっき、思いっきり八つ当たりしちゃったんだぁ・・・!どうしよう、ラビ!?」
「しらねぇー」
「ひどいよラビ!!!」
結局次の日の朝に、無事謝ることができたなのでした。
〜 オ マ ケ 〜
「ねぇ、どうしてあたしが呟いたときすぐに来れたの?」
「へ? あぁ、アレね。さ、前にオレがやったネックレスつけてる?」
「え、う、うん・・・」
「アレ、盗聴機能付きvvv」
「はぇぇええぇぇえ!?」
「だからコムイさんとこからすぐに『槌』で行けた・・・って、」
「・・・ラビ?(黒笑)」
「ハイ?(汗)」
「・・・・・・一度アッチに行ってくる?」
「イヤ、えんりょし・・・」
「イノセンス発動!!!(怒)」
懺悔という名の後書
何でしょう、コレ。(笑)
本当にラビ殿の夢なのでしょうか。否! 全く違う!!
ごめんなさい、日頃お世話になっている妃菜さんへ
愛と感謝を溢れんばかり込めたつもりがこんなことにっ!
矛盾、矛盾、矛盾の嵐。(笑)
意味がわからないところがあれば聞いてやってください。
初めてのお使い、ならぬ、初めてのラビ夢。(なんだそれは)
口調がつかめなくて泣きそうでした。
2005、5、14 杞沙
author's comment...
杞沙さん、素晴らしい夢を有難う!!!
本当に本当に嬉しかったです♪しかもめちゃくちゃ上手いし!!!
ヤバイ、私の立つ瀬がない(笑)でも微笑ましいお話だなぁ♪
すっごくやん(笑)が可愛いっvv
ラビに会えないと本当に凹むんだろうなぁって思って、少し笑っちゃってたりして(苦笑)
リナリーに八つ当たりするところも浮かんできちゃうよ〜♪
ラビの口調、難しいよね!!私もいつも悩んでます・・・でも、それっぽかったvv
私の方がお世話になってるのに、頂けるなんて本当に感謝でいっぱいです♪
本当に有難うございました!!!
八枷 妃菜