本部についたのは、夜中。
 とりあえずリタをコムイさんの元へ連れて行き、私は自室へ戻った。
「はぁ〜・・・今日も頑張りました」
 今日も星が見えない。此処はどーも星が見えないところなのかなぁ?
「・・・お風呂でも行ってこようかなぁ」





Cherish ――― Etoilette






 本部の大浴場も久々だから、思いっきり長風呂してしまった。
 おかげで少しのぼせた・・・クラクラする。
「ベランダに出て夜風に当たろうかな」
 私は髪も乾かさないで、バスタオルを持ったままベランダに向かった。
 そこに、先約が一人。

「あれー?アレンだぁ。」
 私の声に振り向き、笑顔になったのはアレン。何してんのかなぁ?
 隣に並んでみた。
「ごめん邪魔?」
「いいえ、そんなことないですよ」
 相変わらずアレンって優しい笑顔をするなぁ。
 私は釣られて笑顔を返してしまう。

、髪がまだ濡れてますよ?」
「ん?いいの。のぼせたから風に当たりたかっただけだから」
 ぱたぱたと手で仰ぐ仕草をする。
 そうですか。と言ったアレンはふと私からタオルを取った。
「良かったら、拭いてあげますよ」
「え?ほんとー?」
 返事も待たずに、アレンが髪を持つ。
 やっぱアレンらしいや。
 優しく痛まないように拭いてくれる。

「アレンって優しいねー」
「そうかな?」
「そうそう!」
 嬉しそうな表情をしたアレンを見ることは出来なかった。

が髪を下ろしたところ、初めて見ました」
「へ?」
 そうだっけ??
 確かにいつも少量を二つにくくってるもんね。
 思わず笑みがこぼれてしまった。

 ・・・夜風が、冷たい。

「アレン、夜風って気持ちいーよね!」
「そうですねー」
 はい、出来ました。とアレンはタオルを返してくれた。
 だいぶ水分がなくなったみたい。
 重さで解った。
 ほのぼのと二人並んで空を見上げてたときだった。



っ!!!」
「ふぁっ!?」

 突如後ろから何かが抱き付いてきた。
 ぅわわっ、落ちちゃうって!!何!?

「・・・ラビ」
 アレンが不満たっぷりな声で呼んだ。
「何?アレン♪」
が落ちそうですよ・・・」
 振り返ると、抱きついてきやがったのはラビだ。

「ちょっ、なに!?離れてよー!」
 グイーッと思いっきり引っ張り、離れてくれた。
 あ、ちょっと不機嫌そう。
「なんでアレンとこんなところに居るんさ?」
「へ?」
 ばったり会ったの、と言うとアレンも
「そうですよ。僕らがのんびりしてるときだったんですから」
 なんでそんな不満そうなんだろう・・・

「それにしても、!風呂あがりだと良い匂いさぁ!」
「変態ですね、それ」
「アレンだって本当はそう思ってたんだろ♪」
「ラビと一緒にしないで下さいよ」


 ・・・私は二人のやり取りをしばらく見ていた。
 なんで二人ともギスギスしてんだか?まぁ良いけどさ。


 もう一度、空へ目を向けてみる。
 
 やっぱ此処って星が出ないのかなぁ。
 妙にこうもりがいっぱい飛んでるけど・・・。
 なんて仰ぎ見ていたとき、空に何かが光った。


「・・・あっ!!!!」

 私の大声で二人の言い合いは止む。


、どうしたんです?」
「なにかみつかったのかー?」
 両脇にアレンとラビが来た。
 私は光ってる先を指で差した。


「あれっ!!星だぁっ!!」
「「星ぃ?」」
 うわぁ〜、本部で星を見られるなんて、思っても見なかった!
 ちょっと小さいけど、光ってるアレは星だ!

「本当だ、此処では見たことなかったさ」
 ラビの言葉に頷く。
「小さいけど綺麗〜・・・」
は星が好きなんですか?」
 アレンの言葉に頷いた。

「うん!星って見てると心が浄化されると言うか、とにかくいいのよ!」

「「へぇー・・・」」
 以外だな、と思ったのかな。

ガキだなーは」
「まだまだ
子供ですね」
 でも、そこが・・・と言いかけたラビとアレンの首根っこを引っ掴む。

「・・・誰がガキだって?誰が子供だってぇ!?」
「「・・・あ」」

 地雷踏んだ、そう思っても後の祭りよ。





「あ、!リタのことで訊きたいことがあるんだけど、いい?」
 リナリーちゃんの声に、笑顔で頷く。
「うん、いいよ♪」
「今回の任務のことも話してね!」
「わかったぁー!!」

 私はそこを離れる。


「ちょっ、!?」
「マジ!?オレらこのまんま!?」


 ベランダの壁に突き刺さってるのは2本の鎌。
 そして先に服を引っ掛けられ、アレンとラビは底に長い間ぶら下がっていたのだった。


 自業自得よ。
 私は清々しい表情をしていたと思う!