・・・ラビってさぁ、何処出身?
 本人は旅してて忘れたって言ってるけど、マフラーが物語りそう。

 ねぇ、暑くないの?





Warm -ほのぼの-






「暑くなってきましたねー」
 私の言葉。
 苦い顔をしながら科学班の研究室で書類の整理を手伝っている。
「そうだねー」
「って言っても、此処はまだ涼しい方じゃねぇか?」
 コムイさん、そしてリーバーさんも仕事をしながら返事を返してくれた。
「え?なんでです?」
「だってよ、此処上の方に建ってるだろ?」
「なるほどー!でも空気が薄いですよね」
「それは仕方ないよ。・・・
あっ゛!!!

 コムイさんの悲鳴が聞こえた。
「どうしたんです?室長」
「・・・間違って記録消しちゃった・・・」

「なにやってんだよあんた!!!!!」

「ごめんね、リーバー班長♪」

 このあとのリーバーさんの言葉は知らない。
 だってとばっちり受けたくないでしょ?だからそそくさと逃げてきたの。


「う〜ん、暇だなぁ・・・」
 暇な時は決まってラビの所に行く。
 だってね、ラビは絶対暇そうにしてるんだもん。
 修練でも付き合ってもらお!

「ラビ、入るよー」
 コンコンッとノックをして入った私は、きょとんとしてしまった。

、どうしたー?」
 なんて能天気に答えるラビの首には、いつものようにマフラーを巻いてる。
 ・・・ん??
 さっきまでコムイさんたちと「暑い」って言ってなかったっけ?
 現に私の格好は団服脱いで、ブラウスの袖捲くってるんだけど・・・

「ね、ねぇラビ・・・」
 修練に付き合ってもらうことは止めた。
 部屋の中に入り、ベッドに座って椅子に座るラビを見据えた。

「あのさ、暑くない?」
 何を言うかと思ったら、とラビは呆れ顔になり、また笑顔に変わった。
「別に?は暑い?」
「うん、とっても」
「オレは別に暑くないさー」
「・・・嘘でしょ?」

 だって長袖の団服だけでも暑いのに、さらにマフラーまで・・・あっ、バンダナとかも巻いてるし!!


「とりあえずマフラーは取らない?見てるこっちが暑い」
「ん?」
 きょとんとしたけどマフラーは取ってくれた。
 これで少しは涼しいだろう・・・

?風邪ひいてんじゃねぇの?」
「その言葉、そっくりそのまま返したいわよ」
 私が可笑しいんじゃないよね?

 ・・・そういえば、ラビって何処の国出身なんだろ。
 前に訊いた時は「さぁ?旅してたから忘れたさ」って言ったんだっけ。

 もしかして・・・私は改めて尋ねてみた。


「もしかして、寒い?」
「・・・は?」
 今の視線は痛かった。ラビってば、「何なのさ?」みたいな目で見るんだもん。

「だってここでもマフラーにバンダナでしょ?寒いのかなぁって思ったの」
 ラビが何か言う前に、私は続けた。

「ラビって南国出身?」
「・・・やっぱバカだ」
「なっ!!!」

 私にしては真剣に考えてみたんだけど!?
 ラビは呆れながら私の頭を撫でてる。

「なんでバカなの?!」
「オレに訊かれても、何処の国出身かなんて忘れてんだから答えが出ないでしょー?」
「うっ・・・」
 確かに答えは聞けないけど、でも絶対そうだと思う!!

 自己紹介のときに故郷が言えないのって寂しいじゃない?
 でも今度からは言えるじゃない!!・・・と思ったけど。


「それにさ、南国出身なら日焼けぐらいあるでしょ」
「・・・・・・・・・あ」

 ラビの肌は普通に明るい。
 そんなことは知ってた・・・ってことは?

の予想通りとはいかないさ」
 笑いながらラビはそう言った。


 なんだ、結局私の勘違いじゃん。
 大笑いするラビがムカつくけど、何も言えないのが現実だった・・・。



「ねぇラビ、じゃあなんでマフラーとかしてるの?」
 私の素朴な疑問に、ラビは笑うことを止めた。
 そして笑顔に戻って言う。

「これはファッションさぁ!」
「・・・え、ファッション?」

 ・・・まぁ、バンダナは解るけど・・・なんでマフラー?


 これ以上突っ込んじゃダメかな、と思った私は訊くことが出来なかった。


 でも・・・でも、なんでマフラー!?


 未だ疑問は解明されてなかったりして。