とっても嫌な夢だった。
思わず目を覚ましてしまった・・・。
でも、どんな夢だったかは覚えてない。
とにかく・・・泣きたくて仕方がなかった。
「・・・ぅっ・・・」
泣きたい。人肌が恋しい。誰かの胸で思いっきり泣きたい。
こんなとき、ラビの優しい顔が浮かんでくる。
「・・・会いたい・・・」
気付けば部屋を出ていた。
ラビの部屋までは近い。
凄く辛い思いを引き摺ったまま、私はゆっくり歩いて行った。
今、何時だろう。
深夜なのは解る・・・廊下が真っ暗だ。
ずっと歩くと、すぐにラビの部屋前に着いた。
・・・着いたのは良いけど、入っても良いかなぁ。
絶対寝てるよね、ラビ。
「・・・どぉしよ・・・」
すっごく会いたい。
ラビの顔を見て思いっきり泣きたい。
一応コンコンッとノックをして、そっと開けた。
「・・・ラビ・・・?」
部屋の中は真っ暗で、とても静かだった。
確か、夢の中でも・・・こんな暗闇があった気がする・・・
「・・・ふぇっ・・・」
思わず泣き出してしまった。
でも堪えられなかった。
「・・・んー??」
ふと呼ばれ、そうかと思ったらベッドの近くのランプが灯した。
「・・・ラビ・・・っ!!」
「わっ、どうした!?」
無意識だけど、それでよかった。
ゆっくり起き上がったラビの元にダイブしてしまったから。
「ぅわぁ〜・・・ひっく・・・」
「?何があった?」
泣きながら抱きついた私にラビは退けようとしないで優しく撫でてくれた。
「・・・怖い、夢見たっ・・・」
「怖い夢?どんなの?」
「・・・わかんない・・・」
とにかくラビの胸で思いっきり泣きたかった。
ラビもなにも言わないで頭を撫でてくれていた。
少し経って、大分落ち着いてきた。
「・・・ごめん、ラビ」
「ん。大丈夫か?」
「うん・・・ありがと」
教団の中で一番優しいのはアレンだと思う。
だけど、ラビもとても優しいと思うんだ・・・。
「・・・、一緒に寝る?」
「・・・へ・・・?」
本当は一人で寝たくなかった。
何でか解んないけど、本当に嫌な夢だったから。
忘れたくって、思い出したくない・・・そんな夢だったから。
「・・・寝るっ・・・」
「そう?じゃー寝るかぁ!」
布団の中に入れてくれて、ぎゅっと抱きついてる私を剥がそうともしない。
でも、
「・・・、一線越えても良い?」
「・・・や」
「そういうと思ったさ」
そう言って微笑むと、ラビは抱き締めてくれた。
とっても暖かくてね。すごく安心してしまった。
電気も消さなくて、私が寝やすいようにしてくれてた。
思えば、私が一番安心できる場所はラビの腕の中だけなのかもしれない。
怖い夢を見ることはなかった。