別に、痛くなんてない。
 ってゆーかなんでラビが心配するの?
 別に私のことなんだし、いいのに。





Scar -傷-






 此処は療養所。
 ラビと修練してて、不注意で自分の鎌で腕を斬っちゃっただけなんだけど・・・
 別にピッと軽く斬っただけなのにラビが大げさに此処まで連れてきたわけよ。

「ねぇ・・・なんで包帯なんて持ってるの?」
「え?が怪我したからじゃん?」
「切り傷だから!」
 全く、包帯なんて巻くわけないじゃない・・・
 自分で消毒をしてたんだけど・・・うわ、痛い。
 さすが私の鎌。すっごく斬れるみたいねぇ〜!なんて思う私は可笑しいのかなぁ?

「・・・、ダイジョブ?」
「へ?」

 ラビはジーッと腕を見ながら、呟いた。
「うん、大丈夫だけど・・・どうしたの?」
「んー?」

 傷を見ていたラビは、突然近寄って

「ひゃっ!?」
 なっ、舐めた!?今傷舐めた!?

「なっ、なななな?!」
「驚きすぎっしょ」
「何で舐めたの!?」

 ラビはきょとんとしてけど、一言。

「にがっ!」
「消毒した後だもん、苦いに決まってるでしょ!?」

 何で舐めたの!?ってもう一度訊くと、ラビは普通に
「痛そうだからさぁ」って言った。

 ・・・意味わかんない。

「まぁいいや。絆創膏貼って、ラビ」
 自分で貼れないから頼んでみる。
 ラビは一応受け取ったけど、なおも私の傷を見てる。

「・・・、やっぱ包帯の方がいいっしょ?」
「えぇ〜?」

 確かに傷は細長くなってるけど、絆創膏で大丈夫だと思うんだけど。

、オレの言うことはきいとけって」
 何故か知らないけど、真剣な表情でラビは言った。


「・・・ねぇ、なんで心配してるの?」
 私はこんなに大丈夫なことなのに・・・っていうか、自業自得なのに。
 どうしてそんなに真剣なの?
 それを訊くと、ニコッと笑った。


が大切なんさぁ」


 私が大切って、なんで?
 そう思ったけど、訊けなかった。
 だって私でも解ったんだもん。
 ラビが愛しそうな見ていたのが・・・。

「・・・ありがとう」
 やっぱ包帯にしようかなっていうと、嬉しそうな笑みを浮かべてくれた。
「オレが巻いてやるから!!」
「う、うん・・・」

 嬉しそうに包帯を巻いてるラビがなんかヘンなの。

 でも、たまには心配されるのもいいかも。


 思わず笑ってしまった。


、何笑ってんの?」
「んー?なんか面白くて」



 “怪我の功名”とはこのことかもしれないなぁ、なんて思ってたりして。