とある街で、可愛いぬいぐるみを見つけた。
任務中の私が、たまたまショーウィンドウを見たときだった。
Rabbit -うさぎ-
「うわぁ〜・・・おっきい・・・」
思わず足を止めてしまった。
ショーウィンドウの中の大きなぬいぐるみは、真ん丸な目を私の方へ向けていた。
全体的に茶色で、ぴんと立っている耳も大きい。
おなかは白く、上には不釣合いな青い服を着ていた。
見るからにふわふわしてそう・・・触ってみたいなぁ・・・なんて思えるほど。
「エクソシストだな・・・」
後ろに聴こえたアクマの声に答えず、そっちにも向かずに鎌を振り下ろした。
「・・・とにかく、任務よね」
壊れるアクマの短い悲鳴を聴き、ぬいぐるみが欲しい思いをぶつけるべく振り向いて構えた。
ものの数分でアクマたちは壊れ、もう一度私はショーウィンドウを見た。
可愛いなぁ・・・なんて思ってしまった。
でもあんなにお金持ってきてないし・・・諦めるしかないかなぁ。
「なんか見てるとラビを思い出すなぁ」
のんびりした雰囲気が、彼にそっくりみたい。
そういえばラビはちゃんと任務こなしてんのかなぁ。
また寄ってきたアクマを倒しながら、私はそんなのほほんとしたことを思っていた。
「よし、任務完了!」
今回、私はただの囮役。時間まで大量のアクマを殺してればいいもんね。
「・・・ごめんね」
ショーウィンドウに向かって呟く。
つれて帰れることは出来ないの・・・残念だけど。
ウィンドウに両手を付けてる私を傍観してる人達はうさぎが恋しいのかと思うのかな。
実際恋しいけどね、仕方ない。
スッと離れ、今回の任務を共にしてるラビとリナリーちゃんの元に戻った。
うさぎのことは、翌日になっても忘れることは出来なかった。。
・・・・・・・・・今日でこの街とはおさらばかぁ。
あのうさぎ、可愛かったなぁ・・・なんて思う未練がましい私がいたりして。
「ねぇ、」
「え?なに?」
辺りをキョロキョロしてる。どうしたのかなぁリナリーちゃん。
「ラビ見なかった?」
「へ?見てないけど・・・まさか居ないの?」
「うん。もうすぐ汽車が出るのに、何処に行ったんだろ?」
ラビが居ないって・・・何処に行くんだろ?
「私その辺見てくるね!」
「わかった!」
とりあえず立ち上がり、駅に出てみる。
あれ〜?何処に言ったんだろうラビったら??
「中に居るのかなぁ?」
って、戻ろうとしたとき。ポンポンッと誰かが肩を叩いた。
「ん?」
・・・は?
振り向いた私は驚いて、そして唖然としてしまった。
う、さぎのぬいぐるみが叩いたの?
・・・っていうかこのぬいぐるみ!昨日見つけたのじゃない!!
「♪」
「えっ!?」
ひょこっと後ろから現れたのは、いままで探してたラビ。
「ラビ!!何処行ってたの!?」
「にプレゼント買って来たんさぁ♪」
「プレゼント?」
ラビは持っていたぬいぐるみを私に渡した。
・・・ひょっとして、これ買ってくれたの?
じっと見てると、ラビは意地悪そうな笑顔を向けた。
「いらねぇの?」
「え・・・」
どうして買ってきてくれたんだろう?
疑問はあったけど、私は嬉しくなって頷いた。
「いるっ!!」
「ねぇラビ、なんで私が欲しいって解ったの?」
私の問いにラビは微笑んで、
「、昨日欲しそうに見てたろ?」
「・・・うん」
「だからさ」
・・・ラビ、見てたんだ。
でも結構な値段だったと思うんだけど・・・嬉しいなぁ。
きっと私は満面の笑みでこの言葉を言ったんだと思う。
「ありがとう、ラビ!!!!」
そのあと、リナリーちゃんに言うと微笑んで「良かったねっ!」って言ってくれた。
後日談なんだけど、ラビはこのぬいぐるみ代、本部の名前で落としたんだって。
・・・コムイさん、ごめんね。
でもラビのプレゼントだし、いっか♪