ラビは“お姉さまっぽいセクシーな人”がタイプなんだって。
・・・フッ、理想と現実は違うのよ。
せせら笑ってやりたい・・・けど、笑えないわ。
私はラビが好きなんだから・・・・・・はぁ、やっぱ理想と現実は違うわ。





Ideal -理想-





「あーラビとアレンだー!」
 たまたま食堂に向かうと、任務に行ってたはずのラビとアレンが帰ってきてた。

、ただいま」
 アレンはにっこり微笑んでくれた。
 ラビはと言うと・・・あれ?目がハートになってる。


「ラビー?どうしたの?」
 私の声にも反応がない。
 隣に居たアレンが代わりに苦笑いで答えてくれた。


「実は・・・任務先で遭遇したアクマが美人で、それ以来こんな調子なんです」
「・・・ふーん」
 ハートの目は、変わらない。





「ジェリーさん、氷水下さい」
 スタスタと歩き、ジェリーさんの元に。
「え?いいわよ〜?はい、どうぞ♪」
 ジェリーさんから受け取った氷水を持って、近くまで寄る。

「ラ〜ビ♪」

 相も変わらずハートマーク。
 私は手をラビの頭の上に持ってきた。



 だぁ〜〜〜〜〜〜・・・っと氷水を浴びせてやった。



「つめたぁっ!!!!」

 ハートマークは何処へやら。
 ラビは異変に気付いたようで、青い顔をしてるアレンの隣で騒いだ。
「なっ、何すんさぁ!!」
 あまりに冷たかったのか、ブルブル震えながらラビは言った。
「きゃははっ!!あー面白かったー!!」
 コップをアレンに持たせ、私はそのまま自室に戻った。

 本当は笑えないよ。

 ラビってば美人に目がないもんね。
 全く、面白くない。




 自室に戻り、そのままベッドに倒れこんだ。




?」
 コンコンッと音がする。
「・・・ぁい?」
 うとうとしてた・・・頑張って答えると、ガチャッとドアが開いた。

 ・・・ラビだ。

「・・・謝んないもん」
「別に良いけどさぁ」

 ラビは私の隣に座った。

「何であんなことしたんさ?」
「へ?」


 ・・・なんて答えたら良いのやら。
 少し考えた結果、私は微笑んでやった。

「理想と現実は違うんだってことを教えてあげたくなったの」
「はぁ?」
 ワケが解ってないみたい。
「だから、目をハートにしても、現実はどうもならないのよ」
「・・・・・・、それ天然?」
「は?」
 何言ってんのこの人?

 頭の上に“?”を浮かべた私を、少し経ってラビが笑い出した。
 
「ちょっ、何で笑うの!?」
「だってさぁ!それ嫉妬っつぅんだよ!?」
「はぁっ!?」

 ちょっ、ラビ!?
 呼び止めてもラビは「そーかそーかっ♪」なんて言いながら私の部屋を出て行った。


 ・・・嫉妬!?そうなの!?

 氷水を浴びた方が良いのは私のほうかもしれない。


 だけど、それ以来ラビが目をハートに変えて帰ることはなくなった。


 終わりさえ良ければ良いのよ。

 私はただ喜んでいたりして。