ただ、ぼーんやりと空を見上げてみる。

 あぁ・・・今日も良い天気だなぁ。なんちゃって・・・。





Absent -ぼんやり-





 
 任務も終わって、ゆっくり街に居たりする。
 と言ってもコムイさんから許可は取ってるもん。
 こんな時間も必要だって薦めてくれたのはコムイさんだし。

「はぁ〜・・・暇だなぁ」
 外のベンチに座り、ゆったり流れる空を見つめていた。

 なんだかんだ言って、昨日まで任務で忙しかった。
 アクマが進化しちゃって、コンビで行ってたんだけど私もラビも苦戦した。
 ・・・ラビ、私のせいで大怪我しちゃったんだよね。


「ラビ・・・ラビ、ラビラビラビ」
 別に、暇だから彼の名前を連呼してみただけ。
 だから返事なんて期待してなかった。

「何さ」
「・・・へっ!?」
 ボーっとしてた目は何処へやら、私は慌てて視線を地に戻した。

「いつから居たの!?」
 いつの間にか、隣に座ってた。
 ラビはさっきまでの私と同じように、ただぼんやりと空を見ていた。

「今呼んだっしょ」
「うん」

 ようやくラビの視線が私に向けられた。

「・・・ごめんね」
「何が?」
「怪我。私を庇ってくれたから、頭から血とか流しちゃって」

 ラビは、「あ〜〜〜・・・」って言ってもう一度上に向かれる。
 今度は私も上を向いてみた。

?」
 ふと呼ばれた。
「なに?」
「怪我しなかった?」
「・・・してないよ」

 してるわけないじゃん。
 ・・・ラビみたいに包帯巻いてないし。

「それでいいのさ〜」
 のほほんとした声が、聞こえた。



 ゆっくり流れる雲、そして二度と同じに絵にならない空。

 私は、ラビを加えてただぼんやりと空を見ていた。



「・・・よしっ!立って!」
「へっ!?」
 突然立たされる。
 何?と彼の顔を見ると。あ、満面の笑みだ。

「どっか遊びにいこうぜ!」
「へ?でも・・・」

 ラビの頭に、包帯が巻かれてる。
 ジッと見てると気付いたのか、持っていたいつもの布で隠した。

「ぼんやりは飽きたさ!な?」

 ・・・また、笑顔。

 私はどんなに自己嫌悪に陥っても、あんたの笑顔を見たら元気になれるみたい。


「・・・ぃよーしっ!!!この休みに遊びとおすぞっ!!!」
「そうこなくちゃなっ!!」

 私も笑顔になれた。




 ぼんやりのあとの、倖せ。