アレンは優しい。
優しくて優しくて優しすぎる。
だから・・・そんなことになっちゃうのよ。
夜中。
私はこれからお風呂に行くべく、部屋を出た。
ただでさえ暗い本部の中、夜はもっと暗くなってしまう。
よく警戒しながら廊下を歩く。
それでも、知ってる人に会ったらそれなりに嬉しくなる。
特にアレンだったら、私は彼の居るとこまで走って行ってしまうだろう。
「あれ??」
そんなアレンの声。後ろだ!
「アレン?」
呼ぶと、遠くから歩いてきた。
アレンだぁ!どうしたんだろう、こんな夜中に。
それはアレンも思ってたみたいで、近づくとすぐ訊いてきた。
「、どうしたんです?こんな夜中に」
「これから大浴場に行こうと思って」
すると驚いたアレンは
「なんでまたこんな時間に!?」って言う。
・・・確かに、普通ならみんな寝静まってるよね。
でも、と私は答えた。
「さっきまで寝ててお風呂入り損ねたのよ」
アレンもそれには納得。
「そうなんですか?一人は危ないですよ」
「そうでもないって!」
と、歩き始める。
アレンも着いてきてくれるみたい。
時々後ろを向きながら歩いてた。
最初にあった警戒心は、アレンが居たから思いっきり解かれていた。
そして気付かないまま歩き続け、ふと後ろを向いて話しながら歩いていたその時。
ガクッと後ろが下がった。
「へっ?」
「え、!?」
道を思い返すと、此処に何があるのか解った。
「っ!!!!」
階段!?
私は気付かないまま階段に達して踏み外して落ちてしまった。
「っひゃああっ!!!!」
ガタッ、ガタガタガタンッ!!!!と大きな音が轟いた。
少し埃立ち、何も見えない。
だけど打撲した割に痛くなかった・・・。
その理由はすぐにわかった。
「ったぁ〜・・・」
私の下から聞こえる声。
・・・え?まさか。
勢い良く避けて見る。
「あっ、アレン!?」
えっ、ちょっ!なんで!?
私が落ちたのに、なんでアレンが下敷きになってるの!?
「あ、大丈夫?」
「アレンが大丈夫?だよ!!なんで庇ってくれたの!?」
そこまでしないでもいいのに!
だって、そこまで弱くない!
ただアレンは微笑んで、
「だって、は女の子でしょ?」
「それだけ!?」
幸い、アレンは何処も何もなかったみたい。
それでも・・・でもさぁ。
私は言ってやった。
「・・・アレンは優しすぎる!!」
すると、まだ床に転がったままアレンは頭の上に“?”を乗せていた。
アレン、貴方はとても優しい。
だけど時には厳しい面も持った方が良いと思う。
私はそう心に思った。
バカアレン!!!!(よっぽど庇ってもらったことが悔しい)