見捨てられた犬は、なにを取得する?
 きっとこんな技を取得するはず。
 だから私も頑張って身につけたんだよ!
 伊達に“子犬”だって言われてないんだからね♪





Abandoned






 アレンが任務に出てる時はつまんない。
 リナリーちゃんは忙しそうだし、コムイさんは色々実験しようとするし。
 リーバーさんは煙草臭いし、神田は怖い。
 頼みの綱のラビもいない。・・・つまんない!

「あ〜〜・・・暇だなぁ・・・」
 大鎌をグルングルン回しながら、そう呟く。
 修練場で練習してるんだけど・・・やっぱつまんない。
 
「うぅ〜・・・」
 アレンっていつ帰ってくるのかなぁ・・・
 泣きたくなっちゃう。


 ダラダラと過ごして、あっという間に夜。
 暇そうに本部内をウロウロしてたときだった。
 丁度通りかかった研究室。
 そこから、待ち望んでた人が出てきた。

「あっ!!!アレンだぁっ!!!!」
 パァッと顔が笑顔になる。
 アレンは気付いたのか、「、ただいま」って笑顔を向けてくれた。

「アレン、遊ぼう!!」
 とにかくお話がしたかったんだけど、アレンは少し困った表情をした。

「ごめん、。徹夜で任務を終えたから寝たいんです・・・」
「えぇ〜・・・」

 そんなぁ・・・
 だって、私はずーっとアレンが帰ってくるのを待ってたのに、寝ちゃうの!?

 アレンはスタスタと歩いてたけど・・・止まって振り返った。





「・・・、その目は反則じゃない?」
 居た堪れない様子のアレンは、額から冷や汗が溢れている。

 だって、泣きそうな顔で座り込んでるんだもん。

 視線といい、目といい。
 アレンは“見捨てられた子犬”だと思ったみたい。
 

「・・・仕方ないなぁ、僕の部屋に来ます?」
 観念したようにアレンはため息をついた。
 途端、バッと立ち上がり、嬉しそうな表情をした。
「ホント!?ありがとうアレンっ!!!」


 フフフ、これはわざとなんだけどね。

 アレンが優しいことを知ってるから、良く私が使う手なんだ。

 案の定、これをアレンは断ったことがないんだよ。


「アレンって優しいね〜♪」
「そうですかぁ?」
 どうやら、気付いてないみたい。

 まだまだこの技、使えそうねぇ・・・。